泌尿器科 ボツリヌス療法 飲み薬で治らない頻尿・尿漏れをあきらめない!

中部ろうさい病院

泌尿器科

愛知県名古屋市港区港明

生活の質をおとす、トイレ事情

頻尿(ひんにょう)・尿漏れの原因には大きく分けて、過活動膀胱と神経因性膀胱という病気があります。

膀胱にうまく尿がためられなくなる過活動膀胱の患者さんは、国内の調査では40歳以上の8人に1人いると推定されていますが、発症メカニズムはまだ十分に解明されていません。

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図1 正常な膀胱と過活動膀胱

また、脳や脊髄(せきずい)の病気(脳卒中や脊髄損傷など)が原因で排尿トラブルが生じる病気を、神経因性膀胱といいます。どちらの病気も頻尿・尿漏れのため、常にトイレが気になってしまい、日常生活にさまざまな支障をきたします。

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図2 神経因性膀胱

新しい治療法——ボツリヌス療法

頻尿・尿漏れの対処方法として、まず尿検査や超音波検査などを行い、原因に応じて治療法の選択をします。一般的には生活習慣の見直しに加えて、薬物治療を行います。

現在、多種類の薬が発売されており、選択の幅は広がっていますが、副作用のため内服継続が困難になる患者さんや、薬ではコントロールできない難治性の患者さんもいます。そのような患者さんには、排せつに関係する神経に対して、持続的に電気刺激を行う装置を体内に埋め込む治療法や、膀胱の容量を大きくするような外科的手術もあります。ただし、体への負担の大きさが問題となります。

2020年、ボツリヌス菌が作る天然のたんぱく質「ボツリヌストキシン」を膀胱の筋肉に直接注射する新しい治療法が保険適用となりました。この治療は、泌尿器科医がカメラで膀胱内を観察しながら専用の針で穿刺(せんし)(*)し、注射をしていきます。注射は10〜20分ほどで終了するため外来でも行えます。通常、治療効果は2〜3日で現れ、個人差はありますが、過活動膀胱の場合は4〜8か月持続するとされています。効果がなくなってきたら医師と相談の上、改めて治療を行う必要性があります。

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図3 ボツリヌス療法

*穿刺:針を刺すこと

泌尿器科の特徴

泌尿器科というと、特に女性にはまだまだ敷居が高い科のようです。「おしも」の悩みがあっても、何科にかかっていいのか分からないという方もいます。私たち泌尿器科は、「おしも」の専門家として、悩める患者さんの水先案内人になれたらと思います。まずは1人で悩まず相談を!

更新:2022.03.23