腎がん(腎細胞がん)の治療にはどんな方法がありますか?

泌尿器科

腎がんの手術とは?

腎臓には、血液を濾過(ろか)して、体内の老廃物や余分な水分などを尿として体外へ排泄する働きがあります。腎臓にできるがんには、腎実質の細胞ががん化する腎細胞がんと、腎盂粘膜(じんうねんまく)より発生する腎盂がんがありますが、ここでは、一般的に「腎がん」を指す腎細胞がんについて説明します。

腎(じん)がん(腎細胞がん)は進行するまで、なかなか症状が出ないことが多いのですが、最近は人間ドックや健康診断で行う腹部エコー、ほかの病気で行うCTなどで腎がんが偶然見つかる患者さんが増えています。転移がない場合は手術が最も有効な治療法で、手術による根治(こんち)(*)をめざします。

*根治:完全に治すこと。治癒

当院では、以前から腹腔鏡(ふくくうきょう)での手術を積極的に行っています。創(きず)が小さいため、患者さんの体の負担が少なく回復が早いことが期待できます(図)。初期で小さな腎がんに対しては、手術用ロボット「ダビンチ」を使用した腎部分切除術を行っています。通常の腹腔鏡では難しかったがんの切除や、出血した場所を縫うことが、より精密にできるようになりました。

図
図 腎がん(腎細胞がん)

腎がんの薬物治療について教えて

転移のある腎がんの患者さんや、腎がんの手術後に転移や再発が見つかった患者さんの治療は、内服薬や点滴を用いた薬物療法が中心となります。

分子標的薬というタイプの薬が出てから、進行した腎がん患者さんの病状の進行を抑えたり、腫瘍(しゅよう)を小さくしたりすることが以前よりもできるようになってきました。数年前からは免疫チェックポイント阻害薬(「免疫力を利用した新たながん治療—がん免疫療法!」参照)というタイプの新しい薬が使えるようになりました。さらに患者さんの病状によっては、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬のうち、2種類の薬を同時に使って行う治療ができるようになっています。

腎がんを薬物治療で完全に根治することは難しいのですが、長期間病状が安定する患者さんも増えてきています。当院でも副作用に注意しながら、こういった薬物治療を積極的に開始するようにしています。

更新:2023.08.26