慢性腎臓病(CKD)になったらどうなるの?

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慢性腎臓病(CKD)とは?

腎臓(じんぞう)は腰上部にある、そら豆のような形をした左右一対の臓器です(図)。握り拳程度の小さな臓器ですが、体内に生じた老廃物や余分な水分を尿として体外に排泄するという大きな役割を担っています。

図
図 腎臓の構造と機能

そのほかにも腎臓はさまざまな働きをしていますが、その中でも一番大切な血液を浄化する機能については、老廃物の1つであるクレアチニンが体内にどれだけ蓄積しているかを指標として測定することができます。

血液中のクレアチニン値(CRE)や、その値をもとに年齢に応じて自動的に算出される推定糸球体濾過量(すいていしきゅうたいろかりょう)(eGFR)により、腎機能が評価されます。腎機能が悪くなるほど、CREは上昇しeGFRは低下することになります。eGFRは「残された腎機能(%)」と、おおむね捉えることができます。

慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease)は、このeGFRが60未満、もしくはタンパク尿が3か月以上持続する状態を指します。血液検査におけるCREとeGFRや尿検査などは、市民検診や定期受診などの検査項目に含まれていることが多いので、自分がCKDに相当しないかどうか確かめてみましょう。

CKDを放置すると、どうなるの?

CKDであっても、多くの場合自覚症状はありません。そのため、自分がCKDであることに気がついていない場合も少なくありません。ですが、CKDを放置していると腎機能はさらに低下し、末期腎不全(eGFRが15以下)となってしまいます(表1)。

ステージ 1 2 3 4 5
eGFR >90 60-89 30-59 15-29 <15
腎臓の状態 正常 軽度 CKD 中等度 CKD 高度 CKD 末期腎不全
表1 CKDのステージ

末期腎不全とは、体に蓄積した老廃物の影響で日常生活を送ることが難しくなった状態です。体に溜(た)まった余分な水分により、体のむくみがひどくなって体重が増加し、息切れや呼吸困難などの症状が現れたりします。また食欲が低下し、頭がぼーっとしてきます。その段階からの腎機能回復はほぼ不可能であり、生命維持のためには透析や腎移植が必要となります。

CKDの治療は?

末期腎不全となった場合に選択される透析治療は、腎臓の機能を回復させる治療ではなく、血液を浄化する働きを自分の腎臓の代わりに、機械に委ねるということにすぎません。したがって、末期腎不全の原因が一時的なものである場合を除き、透析を一度始めると生涯継続しなければなりません。

大切なのは、末期腎不全になる前に慢性腎臓病の原因をはっきりさせ、進行を予防する対策をとることです。腎炎が原因である場合は、専門科で治療を受けることによって、腎機能の大きな回復が見込めることがあります。また、普段何気なく服用している薬剤が腎臓によくない影響を与えていることもあります。そのような治せる原因を見逃さないためにも、早めに専門科に相談することをお勧めします。

腎臓は毛細血管の固まりといえるほど血管が多い臓器であり、生活習慣の乱れによる全身の動脈硬化(*)の影響を受けやすい特徴があります。そのため、先に述べた腎炎などの腎臓特有の病気がない場合でも、腎臓の機能が低下しCKDとなっていることがあります。

*動脈硬化:加齢やさまざまな危険因子によって、血管が硬くなり、柔軟性がなくなっている状態

塩分の摂り過ぎ、食べ過ぎ、長い喫煙歴などがCKDの原因になりやすいとされています。また、これらの生活習慣の影響で発症しやすいとされる高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症、高尿酸血症などをすでに指摘されている場合は、腎臓にもその影響が出ていることが少なくありません。

腎臓は基本的に再生能力を持たない臓器です。無症状だからといってCKDを放置していると、末期腎不全を防ぐ可能性がどんどん少なくなってしまいます。末期腎不全にならないためにも、CKDに当てはまる場合は、早めに腎臓内科を受診し、早めに原因に応じた対策を立てることが望まれます。

血尿が出る
尿が泡立っている
夜間に何度もトイレに行く
血圧が上昇する
貧血になる
顔色が悪いと言われることがある
体がだるい、疲れやすい
むくみを感じる
表2 慢性腎臓病(CKD)の症状の例

・自分は慢性腎臓病に当てはまらないか、まず確認しましょう。

・慢性腎臓病は無症状のまま末期腎不全まで進行することがあります。

・慢性腎臓病の原因を調べるために、腎臓内科を受診しましょう。

更新:2023.08.27