患者さんに合わせた選択が可能に 最新の心臓カテーテル治療
循環器内科 心臓血管外科 放射線部
どんなカテーテル治療が一般的ですか?
心臓カテーテル治療の対象となる病気は、狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)といった、心臓に酸素や栄養を送っている冠動脈に動脈硬化(血管が硬くなり、柔軟性がなくなっている状態)が起こり、内腔(ないくう)(血管の中)が狭くなったり詰まったりした状態です。
現在、治療の主役となるのは、薬剤溶出性ステントといわれる再狭窄(さいきょうさく)(治療後に再び血管が狭くなり再治療が必要になる)の起こりにくい薬が塗ってある金属のチューブを病変部に留置し、血管の内腔を拡大して保持するPCI治療(経皮的冠動脈インターベンション)です(図1)。
最近では金属の材質や厚みが改良され、薬をとどめているポリマーという物質も人体にやさしいものを使用しており、旧来のバルーン(風船)治療やステント治療に比べて再治療を必要とする可能性が劇的に減少しました。また、ステントを入れると、ステントが血の塊(かたまり)で詰まらないようにするために、血液をサラサラにする2種類の薬を一定期間飲んでもらう必要がありますが、ステントの改良に伴いその期間は以前よりかなり短くなってきています。
ステント以外の治療法ってあるの?
ステント以外には薬剤溶出性バルーンという、再狭窄を予防する効果のある薬が塗ってある風船で治療する方法もあります(図2)。以前入れたステントが詰まってきたときに使用することが多いですが、これを用いることで、条件が揃えばステントを入れずに治療することも可能です。特にステントという異物を入れたくない若い患者さんや、細く小さい血管や分岐部(血管の分かれ目)に病変がある患者さん、手術を予定している患者さんなどにはよい治療法と考えられます。
この治療のためには、血管を事前にできるだけきれいにしておく必要があります。風船治療(薬を塗っていない風船や刃のようなものがついた風船で病変部を先に広げる)やプラーク(血管を狭くしている組織)を削り取る器具、石灰化(石のような硬い組織)を削る特殊器具などを使用して治療を行います。ただし、血管の形や大きさなどで、この治療が可能かどうか決まりますので、一度相談してください。
更新:2023.08.24