病気とつきあうための栄養管理について教えてください
栄養指導部
なぜ「栄養」をとる必要があるの?
私たちは、食べることを通じて必要な栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミン)を体内に取り込んでいます。体内に取り込まれた栄養素は、互いにかかわり合いながら複雑な反応(代謝)を行い、私たちの体をつくり、生命維持活動に役立っています。
なぜ「栄養」をとる必要があるのかというと、バランスのよい食事で必要な栄養素を過不足なくとることが、健康を保つことにつながり、病気があっても治療効果を高め、回復を促進することになるからです。
当部では、個々の患者さんに適した病院給食を毎食100種類以上提供しています。また、継続した栄養管理のため、栄養指導も毎日行い、必要な知識や技術をアドバイスしています。入院・外来患者さんの「栄養」について幅広く対応していますので、遠慮なく相談してください。
治療の影響で食事が十分にとれるか不安なのですが?
入院中は治療の影響や環境の変化など、さまざまな要因によって食欲不振となり、食事量が減る患者さんがいます。必要な食事量が確保できないと、栄養状態が悪化して治療に影響が出てしまう場合もあります。
そこで当部では、食欲不振の患者さんにどのようなものが食べやすいか聞き取り調査を行い、病院給食の内容を調整しています。
例えば、口の中やのどに痛みがある患者さんには刺激の少ない軟らかい食事を提供しています。治療の影響で味を感じにくい患者さんには、通常の病院給食より味付けを濃くしたメニュー(写真1)を提供することもあります。量をたくさん食べられない患者さんには、栄養補助食品などを使って必要な栄養が効率よくとれる工夫をしています。ほかにも、患者さんや家族などと相談しながら、食べやすい工夫を考えています。
一方で、口からの食事だけでは十分な栄養が確保できない場合は、鼻からのチューブや点滴などを使った栄養摂取が必要になることもあります。そのような場合は、主治医のほか、多職種からなる栄養サポートチーム(NST)を編成して、患者さんに最適な栄養管理方法を提案しています。食事や栄養管理について不安に思われる場合は、気軽に相談してください。
退院後の食事管理が不安です。どうしたらいいの?
先述したように、健康を保つためには、エネルギー量や栄養素を過不足なく摂取することが大切です(図)。病気になると、より厳密に栄養量をコントロールしなければいけない場合があり、また病態によっては栄養の必要量や食事回数が変わることもあります。そのほか、噛(か)む・飲み込む機能に問題がある場合などは特別な調理が必要になります。
入院中に栄養指導を受け、自分に適した食事量などを確認した上で、提供する食事を「見て」「食べて」もらえれば、退院後の食事の参考になると思います。
退院後のライフスタイルに合わせ、具体的に「いつ」「何を」「どのように準備して」食べたらよいのか不安に思われる場合には、退院後に栄養指導を継続して受けることもできます。外来での栄養指導は、持参してもらった食事記録をもとに、管理栄養士がエネルギー量やバランスなどを確認し、改善点がある場合には患者さんと一緒に改善方法を考えます。マンツーマンで対応しますので、何でも気軽に相談してください。
病院給食は治療の一環として重要ですが、患者さんにとっては楽しみの1つでもあります。当部では、現在年間20回以上の行事食を提供しています。季節を感じてもらえるよう旬の食材を使い、カードも添えて入院中でも楽しめるよう工夫しています(写真2)。
更新:2024.10.21