生涯現役をめざしたい!「骨粗しょう症対策」について教えて

整形外科 糖尿病・内分泌内科

骨粗しょう症って、どんな疾患?

骨粗(こつそ)しょう症(しょう)は、骨がスカスカになり(骨密度の低下)、骨に粘りもなくなる(骨質の劣化)ことで、少ない力でも骨折を起こす疾患です。骨密度は思春期に急速に増加し、20歳代には最大となり、その後は加齢とともに低下します。特に女性は閉経期を迎えると、急速に骨密度が低下していきます。また、生活習慣病や一部の処方薬によっても、骨密度の低下や骨質の劣化が起こります。

骨粗しょう症自体は特に症状がなく、骨折をして初めて診断されることも多く、また骨折を繰り返す「骨折の連鎖」が問題となります。その結果、介護が必要となり、生命予後(*)をも悪化させることが知られており、本人だけでなく、家族や社会にも大きな負担となる疾患です。骨折を起こさない、また骨折の連鎖を止めるためにも、早期診断による予防・治療が必要です。

*予後:今後の病状についての医学的な見通し

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図 骨粗しょう症になると骨折しやすい部位

骨粗しょう症の診断・治療は?

骨粗しょう症の診断には骨密度検査(X線)を行います。背骨や脚の付け根の骨折をしたことがある場合も、骨粗しょう症と診断されます。「背中が曲がってきた」「歩くのが遅くなった」などの症状があれば、一度骨密度検査を受けたほうがよいでしょう。

骨粗しょう症と診断されたら、尿・血液検査で骨代謝マーカーなどを測定した後、「骨の形成を促進する薬」や「骨の吸収を抑える薬」など、病態に合わせた治療を行います。治療により、骨密度上昇および骨折抑制効果はもちろん、生命予後改善効果も報告されています。骨粗しょう症治療には、運動療法・食事療法、治療継続率の向上など多面的なマネージメントが必要となり、当院でも多職種連携による骨粗しょう症リエゾンサービスを立ち上げ、治療効果向上をめざしています。まずは主治医へ相談し、必要であれば専門外来へ紹介してもらいましょう。

骨粗しょう症による骨折は、繰り返すことで急速に身体機能が悪化し自立を奪います。骨折を起こす前の対応がベストですが、骨折が起きてからもその連鎖を止めることが必要です。たかが骨折と思わず、生涯現役をめざし、一度骨密度検査を受けましょう。

更新:2024.10.07