りょうせいほっさせいとういめまいしょう(びーぴーぴーぶい)
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
概要
良性発作性頭位めまい症は、自分自身や周囲がぐるぐる回っているように感じる症状のことを指します。立っていられなくなったり、吐き気を伴ったりする場合もあり、日常生活に支障をきたすことがあります。
日本では、めまいは比較的よくみられる症状のひとつであり、耳鼻咽喉科や神経内科を受診する理由としても上位にあげられています。加齢やストレス社会の影響などもあり、めまいを訴える患者さんは増加傾向にあると指摘されることもあります。

良性発作性頭位めまい症の原因
良性発作性頭位めまい症は大きく分けると、「耳の問題」と「中枢神経の問題」の2つが主な原因となります。
- 1.耳の問題(末梢性めまい)
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV):耳の奥にある平衡感覚のセンサー「三半規管」の中に、本来は別の場所にあるはずのカルシウムのかけらが移動してしまうことで起こります。体の動きによって突然ぐるぐる回る感覚になり、横になる、起き上がるなどの姿勢変化で症状が出やすいのが特徴です。
- メニエール病:内耳に体液がたまり、圧力が高くなることでめまいや耳鳴り、難聴などを引き起こします。ストレスや疲労が誘因となる場合もあります。
- 前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)・突発性難聴:ウイルス感染や血流障害などによって内耳や神経がダメージを受け、激しいめまいが突然起こることがあります。
- 2.中枢神経の問題(中枢性めまい)
- 脳の平衡(バランス)を司る部分に異常がある場合に起こります。脳梗塞や脳出血、片頭痛などが原因となることがあります。耳の異常によるめまいよりも複雑な症状が現れやすく、言語障害や手足の麻痺などを伴う場合は脳の病気を疑います。
- 3.その他の要因
- 低血圧や貧血:立ち上がるとふらっとする起立性低血圧や、血液中のヘモグロビン(酸素を運ぶたんぱく質)が不足する貧血など。
- 薬の副作用:降圧薬(血圧を下げる薬)などを服用している場合、めまいが副作用として起こることがあります。
- ストレス・疲労:自律神経のバランスが乱れることで、めまいが生じることがあります。
良性発作性頭位めまい症の症状
良性発作性頭位めまい症の症状は人によって異なりますが、主なものは以下のとおりです。
- 1.回転性めまい(ぐるぐる回る感じ)
- 周囲が回っているように感じる、または自分自身が回っているように感じるタイプです。BPPVやメニエール病など、耳のトラブルが原因の場合が多いです。
- 2.浮動感やふらつき
- 地面から足が離れてしまったような不安定な感覚や、ふわふわする感じです。耳や脳以外の要因(貧血など)の場合もよくみられます。
- 3.吐き気・嘔吐
- ぐるぐる回る感じが強いときや、めまいが急に襲ってきた場合に吐き気を伴うことがあります。
- 4.耳鳴りや難聴
- 耳の病気が原因の場合、めまいと同時に耳鳴りや耳が聞こえにくい症状が出ることがあります(メニエール病など)。
- 5.頭痛やしびれ
- 脳の病気が原因のめまいのときは、頭痛がしたり、手足のしびれ(麻痺)を伴ったりすることがあります。
良性発作性頭位めまい症の検査・診断
良性発作性頭位めまい症の原因を特定するには、まずは耳鼻咽喉科や神経内科などの専門医を受診し、以下のような検査を行います。
- 1.問診と身体診察
- いつからめまいが始まったか、どのような状況で悪化するか、耳鳴りや難聴、吐き気の有無などを詳しく聞き取ります。そのうえで医師が簡単なバランス検査を行い、首の動きや眼振(がんしん:目が揺れる現象)の有無などを確認します。
- 2.聴力検査
- 耳が原因のめまいを疑う場合、聴力をチェックして難聴や聞こえ方の異常がないか調べます。メニエール病では特に低音域から聞こえづらくなることが多いです。
- 3.耳の中の検査(温度刺激検査など)
- 外耳道(耳の穴)に温水や冷水を入れて反応を見る温度刺激検査(カロリックテスト)などで、内耳や前庭(平衡を司る器官)が正しく働いているかを確認します。
- 4.画像検査
- MRI:脳や内耳の状態を詳しく調べることで、脳梗塞や腫瘍(しゅよう)などの有無を確認します。
- CT:頭部の骨の構造や出血などを検出しやすい検査です。
- 5.血液検査や心電図
- 貧血や低血糖など、ほかの全身的な要因がないかを調べるために行います。
良性発作性頭位めまい症の治療
良性発作性頭位めまい症の治療は、原因に合わせて行われます。
- 1.耳が原因の場合
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV):頭を一定の方向に動かして、三半規管内に移動したカルシウムのかけらを元の位置に戻す「エプリー法(頭位治療法)」などが有効です。
- メニエール病:内耳のむくみを抑えるために、利尿薬やめまいを抑える薬を使うことがあります。ストレス管理や塩分を控えめにする食事指導なども重要です。
- 2.中枢神経の異常による場合
- 脳梗塞や腫瘍など、重大な病気が疑われるときは、脳神経外科や神経内科での精密検査や手術、血管拡張薬の投与などが行われることがあります。
- 3.薬の副作用や貧血など、その他の原因に対する治療
- 薬の副作用:主治医に相談し、薬の種類や量の調整を行います。
- 貧血や低血圧:食生活の改善や、必要に応じて鉄剤の処方、塩分や水分の摂取量を適切に増やすなどの指導が行われます。
- 4.リハビリテーション
- 平衡感覚を鍛えるトレーニングや、首・肩まわりの筋肉をほぐすリハビリが行われることがあります。慢性的なめまいには、無理のない範囲で体を動かしてバランス感覚を回復させるアプローチが有効とされています。
良性発作性頭位めまい症の合併症・注意点
良性発作性頭位めまい症が激しい場合、転倒によって骨折などのけがをする可能性があります。また、車の運転や高所での作業中に発作的なめまいが起こると、大きな事故につながるリスクがあります。自分の症状に応じて安全対策をとり、医師の指示に従うようにしましょう。
メニエール病などは放置すると聴力に影響が出ることもあるため、繰り返し症状が出る人は早期に受診し、適切な治療を受けることが大切です。
良性発作性頭位めまい症の予防
良性発作性頭位めまい症を完全に防ぐことは難しい場合もありますが、以下の点を意識することでリスクを低減できる可能性があります。
- 1.耳の健康管理
- 風邪や中耳炎を放置しない、過度に大きな音を聞かないなど、日常のケアを大切にします。
- 2.ストレス・疲労の軽減
- ストレスや寝不足が原因でめまいを引き起こすこともあります。適度な休息や気分転換を取り入れ、生活習慣を整えましょう。
- 3.食事や運動の見直し
- 塩分の過剰摂取はメニエール病を悪化させることがあります。バランスの取れた食事や、無理のない範囲での運動を続けることで、めまいを予防しやすくなります。
- 4.めまい日記をつける
- いつ、どんな状況でめまいが起こったかを記録しておくと、自分の生活の中での誘因(ストレスや疲労など)や改善策を見つけやすくなります。
更新:2026.02.04



