川崎病
概要
川崎病(正式には「皮膚粘膜リンパ節症候群」)は、主に乳幼児から小学校低学年くらいまでの子どもに発症する病気です。全身の血管、とくに心臓の冠動脈(※1)(かんどうみゃく)に炎症がおきるのが大きな特徴で、適切な治療を受けずに放置すると、心臓に重い合併症を引き起こす可能性があります。日本で初めて川崎病を報告した川崎富作医師の名前にちなんで名づけられました。
※1:心臓(心筋)に酸素や栄養を送る血管
川崎病の原因
川崎病のはっきりとした原因は、現在の医学でも解明されていません。何らかのウイルスや細菌などの感染をきっかけに、免疫※2(めんえき)が過剰に反応して起こる可能性があると考えられています。免疫の働きが強くなりすぎると、自分の体の血管にも炎症が起こってしまうことがあるためです。遺伝的要因や環境的要因、季節的な傾向も指摘されているものの、いまだ決定的な原因は特定されていません。
※2:体を守る働き
川崎病の症状
川崎病の代表的な症状としては、以下のようなものがあります。いずれもすべてが同時に出るとは限りませんが、複数がそろうと川崎病の可能性が高いと考えられます。
- 5日以上続く高熱
- 目の充血
- いちご舌(※3)や唇の紅潮(※4)
- 発疹(ほっしん)
- 手足の変化:手のひらや足の裏が赤く腫れあがり、回復期になると皮がむけることもあります。指先から皮がむけ始め、だんだん広がっていくのが特徴です。
- 首のリンパ節(せつ)の腫れ
上記のほかにも、子どもによっては下痢や関節の痛み、イライラするなどの症状がみられることがあります。
※3:舌がいちごのように赤くブツブツになる
※4:赤くなる

川崎病の検査・診断
川崎病の診断は、主に症状の特徴と血液検査などの結果を総合して行われます。医師は以下のような点を確認します。
- 症状のチェック
- 発熱期間、両目の充血、唇や口の中の状態、手足の腫れ、発疹の種類など、川崎病に特徴的な症状がそろっているかどうかを詳しく調べます。典型的な場合には、主要な症状のうち5つ以上がそろうことで川崎病と診断されます。一方で、症状が4つ以下しかみられない場合でも、検査所見や心臓の検査結果を踏まえて「不全型川崎病」と判断され、治療の対象となることがあります。
- 血液検査
- 炎症の強さを示す数値(CRP値や赤沈値(※5)など)や白血球数、貧血の有無、血小板の増加などを確認します。川崎病では、炎症が強いためにこれらの数値に異常が見られることが多いです。
- 心エコー検査(※6)(超音波検査)
- 冠動脈に異常がないか調べるために、超音波で心臓や血管の状態を確認します。治療開始後も合併症を早期に発見するため、繰り返し行われることが一般的です。
川崎病は特定の検査だけで確定できる病気ではなく、症状、検査結果、心エコー所見を総合して診断されます。
※5:血液中の赤血球が、試験管の中を一定期間内にどれくらい沈んでいくかを調べた値
※6:超音波(エコー)を用いて心臓の状態を調べる検査
川崎病の治療
川崎病の治療で最も重要なのは、心臓の合併症を防ぐことです。以下のような治療が一般的に行われます。
- 1.免疫グロブリン製剤(静脈内免疫グロブリン療法)
- 点滴で大量の免疫グロブリンを投与し、過剰に働いている免疫のバランスを整えます。早期に行うと発熱が早く下がり、冠動脈の合併症リスクを大きく減らすことができます。
- 2.アスピリン療法
- アスピリンは血小板が固まる働きを弱める薬で、血栓(※8)ができにくくなるため、冠動脈に障害が起こるのを防ぐ効果が期待できます。感染症のリスクなどを考慮し、医師の指示のもとで投与量を調整します。
治療の効果は早い段階であらわれることが多いですが、まれに免疫グロブリン療法に反応が不十分なケースもあります。そのような場合は、追加の免疫グロブリン投与やステロイド薬などの治療が考慮されることがあります。
※8:血のかたまり
川崎病の合併症
川崎病で最も注意しなければならない合併症は、冠動脈瘤(※9)(かんどうみゃくりゅう)です。血管が炎症を起こして弱くなり、動脈の一部が膨らんでしまう状態で、血流が悪くなると心臓の働きに支障が出る恐れがあります。
また、心臓の筋肉に十分な酸素が行きわたらないことによる虚血性心疾患(※10)(きょけつせいしんしっかん)を起こすこともあります。合併症のリスクは早期に治療を始めることで大幅に下げることができるため、発熱が続くなどの疑い症状があれば、すぐに医療機関を受診することが大切です。
※9:冠動脈がコブのように膨らむこと
※10:心臓の筋肉(心筋)に血液を送る冠動脈が狭くなったり閉塞したりして、心筋に血液が行き渡らなくなる病気
川崎病の予防
川崎病は、今のところ確実な予防法が確立されていません。原因がはっきりわかっていないため、特定のワクチンや生活習慣だけで防ぐのは難しいのです。しかし、以下の点に気をつけることで、重症化を防ぎやすくなると考えられています。
- 発熱が続く場合は早めに受診
- 高熱が続く場合や、目や口、手足の異変が気になる場合は、迷わず病院を受診しましょう。特に小さい子どもは症状をうまく伝えられないことがあるため、保護者がしっかり観察することが重要です。
- 適切な手洗いやうがいで感染を予防
- ウイルスや細菌の感染が引き金になる可能性が示唆(※11)されています。外出後や食事前、トイレの後などはこまめに手洗いを行い、うがいも習慣づけるようにしましょう。
川崎病は早く治療を始めれば重い合併症を防げる病気でもあります。気になる症状がある場合は放置せず、医師の診断を受けるようにしてください。
※11:確実的な事実ではないが、ある可能性をうかがわせること
更新:2026.05.13



