年末年始の備え:食べ過ぎ飲み過ぎによる不調の予防と対処方法

メディカルブレイン編集部

いよいよ師走。年末年始は、クリスマスや忘年会、新年会などの多くのイベントが待っている季節です。コロナ禍で少なかったイベントも、徐々に通常通りに開催されるようになり、お酒を飲む機会も増えるかもしれません。

イベントが多いと、食べ過ぎや飲み過ぎによる体調不良を起こしやすく、二日酔いでつらい経験をした方も少なくないでしょう。

そこで今回は、食べ過ぎ飲み過ぎによる胃腸の不調や二日酔いのメカニズムや対処方法についてご紹介します。

食べ過ぎによる胃腸の不調

食べ過ぎた翌日、多くの人が胸やけ、胃もたれ、胃の痛みなどの不快な症状に悩まされます。これらの症状が起こるのは、胃の消化活動のメカニズムに関係があります。

イラスト:食べ過ぎにより胃痛で苦しんでいる女性

正常時の胃の消化活動のメカニズム

食べ物は口でかみ砕かれ、食道を通り、胃の上部に到達します。胃は食べ物が到着すると、胃液を分泌し、収縮運動を行います。この運動によって食べ物と胃液が混ざり、消化が開始されます。食べ物は1時間から数時間で胃の中で分解され、ドロドロの(かゆ)状の物質に変わります。その後、消化された物は小腸に送られ、さらなる消化と栄養吸収のプロセスが行われます。

食べ過ぎた時の胃の状態

食べ過ぎたり、夜遅く脂っこい物を食べると、翌日に胃もたれ、胃痛、胸やけなどの不快な症状が現れることがあります。これらの症状は、大量の食べ物や脂っこい食事が胃に入り、通常よりも消化に長い時間が必要になるために引き起こされます。食べ物が胃の中に長時間とどまると、胃は過度な消化活動を行わなければならず、負担が増大し、消化不良が起こります。

食べ過ぎた時の対処方法

食べ過ぎてしまった時は、翌日の適切な食事や胃薬などで胃をいたわり、正常な働きを取り戻すことが大切です。以下は具体的な対処方法です。

① 消化の良い軽い食事
翌日は胃にやさしい、消化の良い軽めの食事を心がけましょう。調子が悪いからといって食事を抜くことは逆効果です。野菜や消化の良い食品、低脂肪の食材を選び、胃に負担のかからない食事をとることが重要です。
② 胃に負担をかけない食べ方
ゆっくりよくかんで、腹八分目を目安に食事をとりましょう。夕食は就寝の少なくとも2時間前、できれば3時間前には済ませ、睡眠中に胃を休ませるようにしましょう。
③ 水分摂取
適切な水分摂取は、胃の消化活動をサポートし、不快な症状を和らげるのに役立ちます。
④ 十分な休息
食べ過ぎた後は適切な休息をとりましょう。体が回復する時間を確保することで、胃を休ませることができます。
⑤ 適度な運動
軽い運動や散歩などで体を動かすことは、胃の不快感を緩和し、胃の働きを促進するのに役立ちます。
⑥ 胃薬の使用
必要に応じて、胃薬を利用することもできます。消化を助ける消化薬や、胃酸の分泌を促進したり、胃の動きを活発にする健胃薬などがありますので、症状に合わせて適切な薬を選びましょう。

食べ過ぎによる症状は人によって異なるため、自身の体調に合った対処方法を見つけることが大切です。症状が重い場合は必要に応じて医師に相談するようにしましょう。

飲み過ぎによる二日酔い

飲み過ぎた翌日の二日酔いは本当につらいと思います。なぜ二日酔いは起こるのか、そのメカニズムや予防方法、対処方法について解説します。

イラスト:飲みすぎにより寝込んでいる女性

二日酔いのメカニズム

二日酔いは、お酒の飲み過ぎによって起こることは明らかですが、なぜそのような症状になるのでしょうか。

アルコールを摂取すると、肝臓でアルコールが代謝され、アセトアルデヒドという吐き気、動悸(どうき)、頭痛などを引き起こす有害な物質が生成されます。通常、アセトアルデヒドは肝臓内でアセテートという物質に分解され、血液中で全身を巡り、最終的には水と二酸化炭素に分解されて、息や汗、尿として排出されます。

しかし、お酒を飲み過ぎると、肝臓はアセトアルデヒドを分解しきれない状態になり、血液中のアセトアルデヒドの濃度が高くなり、頭痛や吐き気などの二日酔いの症状を引き起こすと考えられています。

ただし、二日酔いのメカニズムはまだ解明されていない部分が多く、アセトアルデヒドだけの単一要因ではなく、脱水症状や胃腸障害、アルコールに含まれるメタノールや不純物の影響など、複数の要因が影響していると考えられています。

二日酔いを防ぐための対策

飲酒前、飲酒中、飲酒後のそれぞれの場面で、以下のような対策を講じることが二日酔いの予防に役立ちます。

【飲酒前の対策】

軽食をとる
飲酒前に胃に食べ物を入れておくことで、アルコールの吸収速度を遅らせるだけでなく、アルコールの分解も促進します。特にタンパク質を多く含む消化の良い食品(豆腐や豆乳、ヨーグルトなど)が効果的です。
水分摂取
飲酒前に水分を十分にとり、脱水症状を予防しましょう。

【飲酒中の対策】

適度なペースでの飲酒
アルコールをゆっくりと楽しむことが大切です。急いで飲むと、アルコールの分解が追いつかなくなります。
水分摂取
アルコール飲料と非アルコール飲料(水、ジュースなど)を交互に飲むことで、アルコールの吸収を遅らせることができます。
食べ物をとりながらの飲酒
アルコールの吸収を緩やかにするために、食事をとりながらお酒を飲みましょう。お酒だけを飲むと、アルコールの吸収が速くなります。

【飲酒後の対策】

水分摂取
飲酒後には水分を十分にとり、脱水症状を防ぎましょう。
休息
十分な休息をとり、体が回復する時間を確保しましょう。睡眠中は肝臓の働きが遅くなるため、アルコールの分解が進みません。休息をとりながら、できるだけ酔いをさましてから眠るようにしましょう。

これらの対策を組み合わせることで、二日酔いを予防しましょう。飲酒の際には、自身の体調や限界を考慮し、節度を守ることが大切です。

二日酔いになった時の対処方法

対策を講じても、二日酔いになってしまうことはあります。そんな時は、以下の対処方法を試すことで症状の軽減や回復が期待できます。

① 水分補給
二日酔いの時は脱水症状が起こりやすいため、水分補給が重要です。水やスポーツドリンクなどを飲み、体内の水分バランスを正常な状態に回復させましょう。
② 食事
食べ物をとることで、胃酸の過剰分泌を抑え、症状を軽減できます。消化の良いお粥やうどんなどを摂取しましょう。
③ 果物の摂取
アルコールを分解する際に、ビタミンやミネラルが消費されます。不足したビタミンやミネラルを補うために果物をとりましょう。野菜ジュースも効果的です。
④ 薬の使用
頭痛や吐き気の症状を軽減する市販の鎮痛剤や胃腸薬を使用することもできます。ただし、適切な薬を選び、使用方法に従いましょう。
⑤ 安静と休息
症状がつらい時は、安静にして十分な休息をとりましょう。
⑥ 二日酔いに効くサプリメント
ビタミンB群、アミノ酸などが含まれる市販のサプリメントは、二日酔いの症状を和らげるのに役立つものがあります。

最も重要なのは、自身の体調に合った対処方法を見つけることです。また、過度なアルコール摂取を避け、二日酔いを予防することが何より大切です。

年末年始は楽しいイベントが待っています。食べ過ぎや飲み過ぎに気を付けて、心ゆくまで楽しみましょう!

更新:2023.12.08