朝、足が痛い。歩行開始時の痛み、足底筋膜炎かもしれません
メディカルブレイン編集部

暖かくなり、外で運動を楽しむのにぴったりの季節になりました。しかし、陽気に誘われてスポーツを楽しんでいると、翌朝起床後に歩き始めた際、踵に痛みを感じることがあります。この痛みをケアせずに放置していると、朝だけにとどまらず日中の歩行時や運動時にも踵が痛むようになり、やがて一日中じわじわ続く痛みに悩まされる、なんてことも。
このような症状が現れたら、要注意です。足底筋膜炎の疑いがあります。
踵が痛む足底筋膜炎の原因と症状
足底筋膜とは、踵の骨から足の各指の骨に向かって広がっている丈夫な線維状の組織です。走ったり歩いたりする場合、足を踏み出した時には指に力がかかって足底筋膜が引っ張られ、足底筋膜の付け根である踵の部分に負荷がかかります。
また、足が着地する際にも踵に衝撃が加わります。つまりスポーツ時には欠かせない、走る・歩くといった動作を行う際には、足底筋膜の踵側の付け根に繰り返し負荷がかかっているのです。

すると、踵側の付け根の足底筋膜に細かい傷が付き、炎症につながっていきます。これが、足底筋膜炎が起こる仕組みです。
足底筋膜炎になると、初期のうちは体がほぐれていない起床後歩き始めの一歩目に踵に痛みを感じる程度ですが、徐々に日中も踵に痛みを感じるようになり、やがて朝から夜まで痛みが続くようになります。
もし、足の親指を反らせた状態で足底筋膜と踵の骨の付け根あたりを押さえると痛みを感じたり、長時間立っていると踵が痛んだりするようでしたら、足底筋膜炎が進行している可能性があります。チェックしてみてください。
激しい運動をしなければ、足底筋膜炎にはならない?
走る・歩くといった動作の際に踵に加わる負荷が足底筋膜炎の大きな原因の一つであることは、先に述べた通りです。では、激しい運動をしなければ、足底筋膜炎にはならずに済むのでしょうか?
答えは、×です。ふくらはぎの筋肉やアキレス腱と足底筋膜は、走る・歩くといった動作の際に密接に連動しています。ふくらはぎの筋肉が弱まったりアキレス腱の柔軟性が失われたりすると、足底筋膜にかかる負担が増えてしまい、あまり運動をしない人でも足底筋膜炎を発症してしまうことがあるのです。
足底筋膜炎の疑いがある場合は、医療機関を受診しましょう。X線検査や超音波(エコー)検査で、足底筋膜の踵側の付け根部分の腫れや炎症を調べることができます。より精密なチェックを行う時は、MRI検査をすることもあります。
足底筋膜炎の治療法
足底筋膜炎の治療は、手術を行わずに症状の緩和・改善を目指す保存療法が第一選択肢となります。主な治療法は、以下の通りです。
理学療法 | ふくらはぎ、アキレス腱、足底筋膜に対するストレッチなど |
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装具療法 | 足の形に合った靴や、踵部分に衝撃吸収材を用いたりくぼみを作ったりしたインソールを利用して、踵への負荷を和らげる |
薬物療法 | 非ステロイド性の消炎鎮痛薬(塗り薬、貼り薬、内服薬など)を使用する。症状が重い場合は、強い抗炎症作用を持つステロイド注射も用いる |
体外衝撃波治療 | 衝撃波を足底筋膜に照射することで痛みを緩和し、組織の修復も促進する。6か月以上保存療法を行っても効果が見られない難治性足底筋膜炎については、2012年より保険診療が可能となっている |
重症の場合は、足底筋膜に切れ込みを入れて痛みを和らげる手術などを実施することもあります。
足底筋膜炎を改善するための方法は?
もし足底筋膜炎の初期症状が現れてしまったら、以下のようなストレッチやマッサージで症状を改善することができます。
足裏伸ばしストレッチ

片方の手で踵を押さえ、もう片方の手で足の指すべてを反らせて、足の裏を伸ばします。壁を利用して足裏を伸ばすのも、同じ効果が期待できます。10回1セットで、1日3セットを目安に行いましょう。
ふくらはぎとアキレス腱伸ばしストレッチ

痛みがある方の足を大きく後ろに引き、両手を前の足の膝に置いて、ゆっくりと重心を前に移動させて、後ろに引いた足のふくらはぎとアキレス腱を10秒から20秒程度伸ばします。後ろに引いた足の踵が浮いてしまわないように、しっかりと足を地面に着けて行うことを意識しましょう。1日に2~3回程度が目安です。
青竹踏みマッサージ

青竹のカーブした部分に足の土踏まずを乗せて、そのまま2~3分程度じっと立った状態を維持して、足裏を伸ばします。足踏みをせずに、じっとした状態をキープするのがポイントです。1日2~3回を目安に行いましょう。
青竹がない場合は、椅子に腰かけた状態で硬式テニスボールに足の土踏まずを乗せて、前後左右に動かしてマッサージする方法もあります。こちらも1回につき2~3分、1日2~3回が目安になります。
青竹やテニスボールなどの道具がない場合は、手指を使って足裏をもみほぐすマッサージを行うのも効果的です。
ストレッチやマッサージは、お風呂上がりなどの体が温まって血流が促進されている時に行うことがおすすめです。もし痛みを感じたら、無理に続けずに中断するか、力加減を弱めて痛みのない程度に優しく行うように注意しましょう。
更新:2025.04.24