何もないところで足がもつれる、つまずく…。その原因は加齢ではなく「病気」かも?
メディカルブレイン編集部

平らで段差がないところで足がもつれる、あるいはつまずく…。そんな経験があるにもかかわらず、「年齢のせいだから仕方ない」と思い込んでいませんか?確かに加齢が原因で足がもつれる、つまずくということは起こり得ますが、実は加齢以外の病気が原因の場合もあるのです。中には、「年齢のせい」と放置していると別の症状につながってしまうことも。今回は、足のもつれやつまずきの原因について解説します。
足のもつれ、つまずきは加齢が原因とは限らない
足のもつれ、つまずきの原因となる病気は、多岐にわたります。第一に挙げられるのが、筋肉や関節の病気です。該当するのは、筋肉量や筋力が低下するサルコペニア、そして関節がすり減ることで骨同士がぶつかり合い、痛みを生じる変形性膝関節症・変形性股関節症です。
二つ目が脳や中枢神経の病気で、これも複数挙げられます。脳の血管が破れたり詰まったりする脳卒中(脳出血、脳梗塞)、脳内の神経伝達物質が減少するパーキンソン病、脳脊髄液が脳を圧迫する正常圧水頭症、小脳や脊髄の神経細胞が委縮する脊髄小脳変性症が、それらに当たります。
そして三つ目が、脊髄や末梢神経の病気です。これも一つではなく、首の骨が変形して脊髄を圧迫する頚椎症性脊髄症、腰の神経の通り道が狭くなって神経を圧迫する腰部脊柱管狭窄症、膝の外側を通る神経が圧迫されたり損傷したりして足が麻痺する腓骨神経麻痺、糖尿病が原因で足の感覚が鈍る糖尿病性神経障害が該当します。

ここまで挙げた足のもつれ、つまずきの原因となる病気で、主に加齢に伴って起こりやすくなる病気もあります。上の一覧の赤字で示した病気が該当します。しかし、すべてではありません。脳卒中のように年齢に関係なく発症する可能性があり、さらに放置していると後遺症が残ったり命に影響があったりする怖い病気が潜んでいる可能性もあるのです。足のもつれやつまずきは、「年齢のせい」だと軽く見てはいけない症状なのです。
続いては、それぞれの病気について解説します。
足のもつれ、つまずきの原因となる筋肉や関節の病気
サルコペニア
主に加齢や運動不足によって筋肉量や筋力が低下し、足が上げにくくなる症状が起こります。足の爪先を上げる太ももやお尻の筋肉が弱った場合に、何もないところでもつまずいたり足がもつれたりしやすくなります。足を上げているつもりでも、上がっていないということが起こるのです。サルコペニアが進行すると、ロコモティブシンドロームと呼ばれる日常生活のための運動機能が低下する症状につながっていきます。
(関連記事:「ロコモティブシンドローム」)

変形性膝関節症・変形性股関節症
加齢に伴って膝関節や股関節の軟骨がすり減り、痛みが生じたり関節が変形したりします。痛みをかばうような歩き方になるため、歩行バランスが崩れ、足のもつれやつまずきが生じます。
足のもつれ、つまずきの原因となる脳や中枢神経の病気
脳卒中(脳出血・脳梗塞)
脳の血管が破れる脳出血、脳の血管が詰まる脳梗塞を総称して脳卒中と呼びます。突然体の片側だけ力が入らなくなって足のもつれが発生します。足のもつれだけではなく、ろれつが回らない、片目だけ見えにくい、めまいや激しい頭痛などの症状も発生した場合は、脳卒中の疑いがあります。放置していると脳細胞の壊死、重度の後遺症などが生じるため、大至急救急車を呼ぶなどして、治療を受ける必要があります。
(関連記事:「脳卒中」)
パーキンソン病
脳内の神経伝達物質(ドーパミン)が減少して、足のもつれやつまずきだけではなく、手足の震えや筋肉のこわばり、緩慢な動作や体のバランスが取りにくくなるといった症状が生じる指定難病です。歩幅が狭くなってすり足になり、最初の一歩を踏み出しにくくなるといった症状も起こります。
(関連記事:「パーキンソン病」)
正常圧水頭症
脳脊髄液が頭の骨の中に過剰にたまり、脳を圧迫する病気です。高齢者に多く見られる病気で、歩行障害だけではなく認知機能にも影響が出ます。歩行障害は、ガニ股ですり足のようになり歩きにくくなるのが特徴です。
脊髄小脳変性症
筋肉の動きや体のバランスを調節する小脳や、小脳からの指令を手足に伝える脊髄の神経細胞が委縮する指定難病です。お酒を飲んで酔っ払ったかのようにふらつきまっすぐ歩けなくなるのが特徴で、ほかにも文字をうまく書けなくなったり、何かを話そうとしてもろれつが回らなくなったりします。
足のもつれ、つまずきの原因となる脊髄や末梢神経の病気
頚椎症性脊髄症
首の骨が加齢によって変形することで神経を圧迫し、歩行障害を引き起こす病気です。足のもつれやつまずきで歩きにくい、足が前に出ない、階段で手すりを使わないと転び落ちそうで恐怖感を覚える、といった症状が出ます。ほかにも指が動きにくくなりボタンを上手に留められない、手足がしびれる、尿の勢いが弱まり時には漏らしてしまう、といった症状も併発することがあります。
(関連記事:「頚椎症性脊髄症」)

腰部脊柱管狭窄症
腰の神経の通り道が狭くなり神経を圧迫することで、足のしびれや痛み、もつれが生じる病気です。加齢に伴って発症することが多く、60代以上の患者さんによく見られます。歩くと足にしびれや痛みが出たり、こわばってきたりするため、長い距離を続けて歩けなくなる場合が多いのが特徴です。
(関連記事:「腰部脊柱管狭窄症」)
腓骨神経麻痺
膝の下から足首の外側(くるぶし)にかけて伸びる細長い骨が腓骨です。その腓骨に沿った神経が圧迫されたり傷ついたりすることで、足首や足の指が上がらなくなる病気です。足首や足の指を上に持ち上げることが難しくなり、歩く際には爪先が引っかかってつまずきやすくなります。
糖尿病性神経障害
糖尿病の合併症によって末梢神経が損傷する病気です。足裏の感覚が鈍くなるのが特徴で、地面の感覚が正しく脳に伝わりにくくなるため、バランスを崩してつまずくといった症状が生じます。
(関連記事:「糖尿病性神経障害」)
何もないところでの足のもつれやつまずきは、体からのSOSかもしれません。「年齢のせい」だと自己判断せずに、気になったら早めに医療機関を受診しましょう。
更新:2026.10.09
