デジタル時代の隠れた危険「デジタル認知症」を知っていますか?
メディカルブレイン編集部
現代の私たちの日常生活では、デジタルテクノロジーが浸透し、スマートフォンやパソコンがない生活は考えられなくなりました。スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器は、便利で生活を豊かにしてくれますが、過度な使用によっては「デジタル認知症」という危険が潜んでいます。
今回はデジタル認知症について解説していきます。
デジタル認知症とは
電車に乗るとほとんどの人がスマートフォンをいじっている光景や、レストランで家族が会話せずにスマートフォンに夢中になっている光景を見かけることは珍しくありません。また、スマートフォンが手元にないと不安を感じ、隙間時間には常にスマートフォンを手にしている人も多いのではないでしょうか。
デジタル認知症は、デジタル機器の過度な使用によって引き起こされる認知機能の障害で、記憶力の低下、注意力や集中力の低下、運動能力の低下などが症状として現れます。
デジタル認知症は正式な病名ではなく、状態を表す呼称であり、最近ではスマホ認知症とも呼ばれています。この名称は、主に高齢者が発症する認知症と症状が似ていることから使用されていますが、脳の萎縮などの症状はありません。
デジタル認知症は、年齢や性別に関係なく発症し、特に脳が成長途中の若い世代に大きな影響を与えると言われています。
デジタル認知症の原因
情報過多による脳疲労
スマートフォンやパソコンを長時間使用し、常に新しい情報にアクセスすることで、情報過多になり、脳疲労が起こります。
デジタル機器依存による記憶力の低下
電話番号などの情報の記憶は完全にスマートフォンに依存し、検索して情報を取り出すだけという状態が当たり前になり、その結果、記憶力はどんどん低下していきます。
対面コミュニケーションの不足
SNSなどのバーチャルなコミュニケーションは、実際の対面コミュニケーションとは異なり、感情的なつながりが不足することがあります。また、すぐに返信しなければならないというプレッシャーや、誰かとつながっていないと不安というような感情を生むこともあります。これらの要因が精神的な問題を引き起こす可能性があります。
運動不足と不適切な姿勢の影響
デジタル機器の長時間使用は、運動不足を引き起こし、肥満や体の健康問題につながる可能性があります。また、長時間前かがみの姿勢でいることも悪影響を及ぼすことがあります。
デジタル認知症の症状
デジタル認知症の症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 人の名前を思い出せないなどの物忘れ
- 記憶力の低下、記憶持続時間の短縮
- 集中力の低下、注意力の低下
- 運動能力の低下
- 社会的孤立感
- ストレスや不安感の増加
中でも、デジタル認知症が子どもに与える影響は深刻だと言われています。子どもは脳がまだ成長途中であるため、デジタル機器の過度な使用が脳の発達に悪影響を与える可能性が高いと考えられています。特に、発達の遅れや不安定な感情、協調性のない行動などに注意が必要です。
デジタル認知症の予防
デジタル認知症は、日々の行動に気を付けることで予防が可能です。
デジタル機器の使用時間を減らす
1日の中でデジタル機器を使用しない時間を決めたり、目的のない時はデジタル機器を使用しないなどのルールを設け、できるだけデジタル機器の使用時間を制限しましょう。
また、デジタル機器を使った後は、必ず一定の休憩時間をとるようにしましょう。
特に子どもに対しては、保護者が時間管理をサポートすることが重要です。
頭を使う、脳を鍛える
脳も体の他の筋肉と同様に使わなければ衰えてしまいます。日常生活で脳を鍛えるために、クロスワードパズル、数独、ボードゲームなどのゲームや、絵を描くこと、楽器の演奏など、画面から離れて脳をトレーニングする活動を取り入れましょう。
また、思い出せないことがあっても、すぐにスマートフォンで検索せずに、思い出すことに集中してみましょう。
読書をする
タブレットではなく、実際の本や雑誌、漫画、新聞を読むことで、読解力や記憶力が向上すると言われています。
屋外で体を動かす
屋外で体を動かす行為は、脳を活性化させ、血流を増加させて脳への栄養供給を促進します。
デジタル機器から離れて屋外で時間を過ごすことは、子どもから高齢者まで、あらゆる年齢層にとって有益なことです。
対面のコミュニケーションを促進する
人と直接会って会話をし、交流することは、脳を刺激し活性化させます。メールやSNSなどのオンラインでのコミュニケーションではなく、実際に相手と対面して、表情やしぐさを見ながらコミュニケーションをとることが大切です。
現代社会でスマートフォンやパソコンは、生活に欠かせない存在となっています。デジタル認知症は、正しい知識を身に付け、バランスの取れた生活を送ることによって予防することが可能です。自分自身や家族の健康を守るために、デジタルテクノロジーを賢く活用する方法に取り組んでみましょう。
更新:2023.09.25