口腔ケアの重要性と効果的な方法

メディカルブレイン編集部

皆さんは、「口腔ケア」という言葉をご存じでしょうか?
最近よく耳にする言葉ですが、具体的に何をすればいいのか正確にわからない方も多いかもしれません。
口の中の健康は、食べたり話をすることだけでなく、全身の健康に影響を与えると言われています。
今回は、口腔ケアの重要性やメリット、実際の方法について詳しく解説していきます。

口腔ケアとは

口腔ケアとは、口の中を清潔に保つためのお手入れのことです。歯磨きやうがい、歯科医院での定期健診やクリーニングなどさまざまな方法がありますが、口腔ケアは虫歯や歯周病などの口内トラブルを予防するだけでなく、全身の健康を保つことにも関わっています。

口腔ケアの必要性

口の中は細菌が繁殖しやすい環境です。そのため、積極的に清潔に保つケアをする必要があります。口の中が清潔に保たれないと、虫歯や口臭だけではなく、口内炎や歯周病のような炎症を起こしやすくなります。
口腔ケアは、全身の健康維持や生活の質の向上に重要な役割を果たします。

口腔ケアの役割

口の中のトラブルの防止

口腔内を清潔に保つことで、虫歯や口臭予防だけでなく、歯茎の腫れや口内炎、歯周病などの口の中のトラブルの予防に役立ちます。

全身の健康への影響

口腔内の状態は、全身の健康に影響を与えることがあります。特に歯周病は、炎症によって発生する毒性物質が歯茎の血管から全身に入り、糖尿病、心筋梗塞(しんきんこうそく)脳梗塞(のうこうそく)などのさまざまな病気に影響を及ぼすことがわかっています。さらに、早産や低体重出生児のリスクを高める可能性もあります。

歯周病についての詳細は、「歯周病」の解説ページをご覧ください。

食事や会話における快適さ

口腔内に問題があると、食事が楽しくなくなったり、会話が難しくなることがあります。人との円滑なコミュニケーションのためにも重要です。
また、白く健康的な歯や口元は、自分に自信を持つことにもつながります。

若年層にも多い歯周病

厚生労働省の「令和4年歯科疾患実態調査」によると、歯周病と診断される「歯周ポケット4mm以上」の状態の人は全体で47.9%と半数近くに上り、高齢になるにつれ増加傾向となっています。一方、25~34歳の若年層でも3割以上の人が歯周病を発症しており、若いうちからの口腔ケアが重要であることがわかります。

15~24歳 17.8%
25~34歳 32.7%
35~44歳 34.7%
45~54歳 43.7%
55~64歳 47.5%
65~74歳 56.2%
75歳~ 56.0%
全体 47.9%
4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合
※厚生労働省「令和4年歯科疾患実態調査」より

口腔ケアの種類

口腔ケアには、大きく分けて「機能的口腔ケア」と「器質的口腔ケア」の2種類があります。

機能的口腔ケア

機能的口腔ケアとは、口の中の機能を保つためのケアで、食事や会話をスムーズに行えることを目的としています。具体的には、嚥下(えんげ)機能を鍛えるトレーニングや口のマッサージなどがあります。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアとは、口の中を清潔に保つためのケアです。口腔内を清潔に保つことで、口の中の細菌数を減らし、歯周病や口内炎、虫歯などを予防します。具体的には、歯磨きやうがい、義歯の清掃などがあります。定期的な歯科検診やクリーニングも重要です。

口腔内のセルフケア方法

口腔ケアは高齢者だけでなく、すべての年代にとって重要です。若いうちからの対策が将来の歯周病などを防ぐことにつながります。以下に、日常生活で行える口腔ケアの方法をご紹介します。

歯磨き
歯ブラシを鉛筆を握るように持ち、20回程度小刻みに振動させながら2〜3mmずつ横に動かして磨きます。歯と歯茎の間の歯周ポケットは、歯ブラシを斜め45度くらいにして、毛先を軽く入り込ませるように磨きます。力を入れ過ぎないように優しく丁寧に磨きましょう。 フッ化物入り歯磨き剤を使用すると、虫歯予防になります。
歯間ブラシやデンタルフロスなどの活用
歯ブラシでは届かない歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使って歯垢(しこう)や食べ物のカスを取り除きます。
舌の掃除
舌の表面には舌苔(ぜったい)という汚れが付着していて口臭などの原因になります。舌に白や黄色っぽい(こけ)状のものが付着していたらそれが舌苔です。舌苔はうがいで落とすことができません。舌ブラシを使って舌の表面を奥から手前に向かって優しく3~4回こすり、その後うがいをして汚れを洗い流します。1日1回起床時に行うのが効果的です。
顔面、口腔の運動
顔面や口腔の筋肉を運動させることで、口や舌の動きが滑らかになり口腔内の健康を維持します。口を閉じて頬を左右交互に膨らませる運動、口を大きく開けて閉じる運動、口の中で舌を回す運動などがあります。 顔面、口腔の運動イラスト
唾液腺マッサージ
唾液腺を刺激して唾液の分泌を促進し、口の中の潤いを保ちます。耳下腺(じかせん)顎下腺(がっかせん)舌下腺(ぜっかせん)と呼ばれる唾液の出やすいポイントをマッサージすることで唾液が出やすくなります。 唾液腺マッサージイラスト
定期的な歯科検診
歯科医院での定期的な検診とクリーニングを受けることで、歯や歯茎の健康状態を確認し、トラブルを早期発見し治療することができます。通常は年に1〜2回の検診が推奨されています。

口腔ケアは全身の健康を保つための有効な手段です。毎日の口腔ケアで口腔内の健康を守り、将来の健康につなげていきましょう。

更新:2024.04.26