点眼治療と手術治療で難病の克服 緑内障

徳島大学病院

眼科

徳島県徳島市蔵本町

早めに発見・治療すれば目の不自由は少ない

緑内障は治らない怖い病気、という話をよく耳にします。確かに病状の進んでしまった緑内障を治すことはできませんが、早く治療を始めることができれば不便を感じることなく生涯を過ごせます。早期発見、早期治療がどんな病気でも大切なことは誰もがよく知っています。緑内障も同じです。

ところが生活や仕事で忙しく、病気が進行して、見えにくくなってから病院に来られる患者さんが多いのが現状です。40歳代では50人に1人ですが、年齢を重ねるごとに割合は増え、70歳代では約10人に1人が緑内障にかかっています(図1)。

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図1 緑内障の有病率

「目玉(めだま)」と言われるように目は球の形をしています。目の中に水が溜(た)まり、ほどよい圧(眼圧(がんあつ))で目を張っていますが、もし目にけがをして、中の水が抜けてしまうと張りが失われ見にくくなってしまいます。逆に水が溜まりすぎていると圧が高くなりますが、目から脳につながっている神経の入り口(視神経乳頭(ししんけいにゅうとう))が、圧の影響を受けて弱っていく状態が緑内障です(図2)。

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図2 眼圧が高いと視神経乳頭に負担がかかる

圧はゼロになってはいけないので、神経には赤ちゃんの頃から少なからず圧がかかり続けます。健康な人でも年をとれば神経が少しずつ減りますが、神経はもともとたくさんあるために少々減っても見え方に影響ありません。神経の減るスピードが速くて半分以上減ってくると見えにくさを感じます。これをいかに早い時期に発見できるかが、将来の見え方や病気の治療方針に大きく影響します(図3)。

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図3 早期発見、早期治療で生涯に渡る視力を維持する

圧は個人間でバラつきが大きく、圧に対する神経の耐性も人それぞれです。圧は高くないけれども、神経が弱りやすいタイプの「正常眼圧緑内障(せいじょうがんあつりょくないしょう)」と呼ばれる緑内障の方が多いことも分かっています。

健診などで早期発見を

では、どうやって緑内障を発見するのでしょうか?それは眼科や健診で目の奥の写真を撮って、神経に緑内障の変化が出ていないか調べることです。神経の形から緑内障が疑われれば、さらに詳しい検査(視野(しや)検査など)をして診断され、治療が始まります。緑内障にはいろいろな原因があります。圧が直接の原因であることが一番多いのですが、目の中の炎症や糖尿病など全身の病気、ほかの病気で治療している薬(ステロイド)など、さまざまな原因で緑内障にかかります。

目以外の問題で起こった緑内障では、原因を取り除く治療が最優先されます。緑内障の原因を確実に突き止めて、その人の緑内障の状態に応じた適切な治療を始めることが、緑内障専門医の役割です。

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点眼治療と手術治療

治療目標は、圧を下げて神経にかかる負担を減らし病気の進行を遅らすことです。まず点眼治療から始めます。圧の下がり幅を確認しながら、患者さんごとに効果のある目薬を選びます。圧のよく下がる目薬が決まれば、圧の経過や視野の検査をしながら病気の進行を数年から十数年という長い年月にわたって観察を行います。

患者さん自身では病気の進行は判断できないので定期的な眼科受診は欠かせません。生涯にわたる治療が必要ですが、根気よく治療と定期診察を続けていき目薬の種類を微調整しながら、将来の視力を少しでも温存させられるように努力します。

目薬の治療で一番大切なことは、決められた点眼を決められた回数きちんと差すことです。ときどき差し忘れたり、診察に来る前だけしっかり差して診察日の結果が良かったりすると、治療効果の判断がとても難しくなります。生活スタイルや差し心地の具合で目薬を100%差せていないときには、患者さんの事情に合った目薬への変更を提案できることもあります。実情を包み隠さずに担当医師に打ち明けることをお勧めします。

何種類かの目薬を使用しても病気が進む場合には手術を考えます。手術治療で眼圧がよく下がってくれると、目薬では抑えきれなかった病気の進行を遅らせることが期待できます。

しかし、手術を受けても弱ってしまった神経は回復しないので、緑内障が治ったわけではありません。手術後もこまめに定期診察を受けて、再び進行していないかチェックすることが大切なことは目薬治療と同じです。頻度は多くはありませんが、目薬よりも手術治療の方が効果のある緑内障もあるため、どの治療が一番効果的なのか緑内障専門医の診察を受けながら治療することが大切です。

更新:2022.03.04