精神鎮静法や全身麻酔による安全な歯科治療 全身疾患・障がいのある方の歯科治療

徳島大学病院

歯科麻酔科

徳島県徳島市蔵本町

病気や障がいのある方へ、当院は、歯科治療を行う歯科医師と歯科麻酔科医が協力して安全な歯科治療を提供します。

全身的な病気のある方のための歯科治療

当科では、血圧や脈拍、心電図や呼吸状態が分かるモニター(写真1)が歯科用チェアに併設されています。このモニターで患者さんの状態を確認しながら歯科治療を行うと、治療中の体の変化を発見することができます。

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写真1 歯科用チェアに併設されたモニター

例えば、高血圧や虚血性心疾患(狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく))の方は、歯科治療中に血圧の変動や不整脈が起こりやすく、命にかかわるようなことが起こる可能性もあります。以前に歯科治療中に体調が急変して、意識を失ったり、気分が悪くなったりしたことがある方では、同じような症状を繰り返すこともあります。このような状態を未然に防ぎ、発症したら各専門医と協力して迅速、かつ適切な対応ができるよう、歯科麻酔科医が患者さんの状態を見守ります(写真2)

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写真2 歯科麻酔科での診療の様子

当院は、県内医療施設と連携を取りながら、入院時に集中的に歯科治療を行うこともあります。

障がいのある方のための歯科治療

歯科治療が苦手な方はとても多く、心身に障がいのある方は、さらに不安が大きいことと思います。歯科治療中に口を開けたままにしておくことや、診療用のチェアで姿勢を保つことが難しいこともあるでしょう。当科では、通常の歯科治療に不安を持っている方に対して、精神的な緊張を和らげる方法(精神鎮静法)や全身麻酔を行っています。そして、個々の患者さんに適した、安全で確実な歯科治療が行えるよう協力しています。

精神鎮静法は、不安や緊張を軽減し、リラックスした状況で歯科治療が受けられます。全身麻酔では、意識や痛みがなく眠っている間に治療を受けることもできます。これらの麻酔方法を併用するかどうか、どの麻酔方法が適応になるかは、歯や全身の状態、患者さんや家族の希望を聞いたうえで、患者さんと治療を担当する歯科医師、歯科麻酔科医が相談して決定します。麻酔による合併症(問題点)は患者さんの状態によって異なるため、麻酔を行う前に十分な説明を行います。

以下に、精神鎮静法や全身麻酔を併用して歯科治療を行う場合の一例を示します。

  1. 歯科(小児歯科や歯科口腔外科)で口の中を診察したり、歯のX線写真を撮ったりして治療計画を立てます。
  2. 精神鎮静法や全身麻酔を行う場合、術前検査(血液検査、尿検査、心電図検査、胸のX線検査など)が必要になります。検査が難しい場合は、相談しながら診療を進めます。かかりつけ内科や施設などで健康診断を行ったことがあれば、その結果を持参してください。
  3. 歯科麻酔科を受診します。歯科麻酔専門医(※)が体や病気について聞き、全身的な診察を行います。その後、麻酔方法や処置の日程などを決めます。
  4. 処置の当日は、食事や水分の制限があります。処置の前に気持ちを安定させる飲み薬を飲むこともあります。歯科用チェアやベッドに横になり、血圧計や心電図、酸素濃度を測定する機器(写真3)を装着します。点滴(写真4)から薬剤を投与したり、麻酔薬を吸入(写真5)したりすることで、精神鎮静法あるいは全身麻酔を始めます。十分な鎮静・麻酔効果が得られたら、治療を担当する歯科医師が歯の治療を行います。歯科麻酔科医は、歯の治療中は患者さんの近くにいて、麻酔をしながら患者さんの様子や血圧、心電図などを見ています。治療が終わったら、しばらく病院内で休みます。入院と、日帰りの場合がありますが、体の状態、処置の内容、患者さんや家族の希望で決めています。
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写真3 左から血圧計、心電図、酸素濃度を測定する機器
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写真4 点滴(当院、手術部資料より)
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写真5 全身麻酔の始まり(当院、手術部資料より)

障がいや病気があることを理由に、これまで歯科を受診することをためらっていた方、満足な治療が受けられずに困っている方は、ぜひ一度相談してください。

※歯科麻酔専門医/専門医とは、厚生労働省が定める医師または歯科医師の専門性について広告が可能である団体名で、歯科では、小児歯科、口腔外科、歯周病、歯科放射線、歯科麻酔の専門医があります。歯科麻酔専門医が診療を行うことで、より安全で快適かつ専門性の高い麻酔管理を提供することが可能です。

更新:2022.03.04