格段に進歩したパーキンソン病の最新検査・治療
脳神経内科
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、手足のふるえや動きのぎこちなさが出る病気で、高齢の方100人中1~2人がこの病気を患っているといわれるほど、患者さんの多い病気です。この10年ほどで、パーキンソン病の診断法や治療法は格段に進歩しています。ここでは、当院で行われている最新の検査・治療の一端を紹介します。
当院でできるパーキンソン病の最新検査
パーキンソン病では、脳の中のドーパミンという神経伝達物質が減ることで、動きづらさやふるえ、歩きにくさが出ます。脳のMRIには異常がなく、これまではもっぱら患者さんの訴えや診察だけを頼りに診断していましたが、治療を始めるべきかの判断や、似たような症状を示す他の病気(いわゆるパーキンソン症候群)との見分けは難しいことがありました。最近になり、核医学検査と呼ばれる方法で画像診断ができるようになりました。
当院では、MIBG(エムアイビージー)心筋シンチグラフィーとDAT(ダット)スキャンという2つの検査を行っており(図)、早期の診断や治療に役立てています。また、県内唯一の取り組みとして、若くして発症した方や、家族の中に同じ病気の方がいるなど、遺伝について心配な患者さんに対し、遺伝診療部と共同で遺伝カウンセリングを行っています。
パーキンソン病治療の最前線
パーキンソン病の治療では、レボドパやドーパミン受容体刺激薬といった、減っているドーパミンを補う、またはその代わりになる薬を使うことで、症状を良くすることができます。しかし、これらの薬は長期間に渡って使う必要があるため、数年すると十分な効果が得られなくなることがあります。特に日内変動といって、時間によって効きすぎる(余計な動きが出る=ジスキネジア)、あるいは十分に効かない(動けない=オフ)ことを繰り返すことがよくみられます。このような状態に対しては、1日1回の内服で効果が持続する薬や、レボドパの働きを助ける薬を使用するのが一般的です。それでも改善が思わしくない方には、当院では薬剤部と連携して、レボドパの血中濃度を測って最適な内服タイミングを計画する取り組みや、脳神経外科と共同で脳深部刺激療法(DBS)を行い、治療効果を高めています。
高齢の方が増えるにつれ、パーキンソン病の患者さんは、ますます多くなると予想されますが、適切な検査・治療を受ければ、長い間良い状態で日常生活を過ごすことができます。動きの遅さやふるえなどでパーキンソン病かどうか悩まれている方、治療を受けているが症状の変動に悩まれている方は、ぜひ受診してください。
更新:2024.10.07