脂質異常症ー動脈硬化を起こさない!最新の治療を

内分泌・代謝内科

脂質異常症(高脂血症)について

血液中の主な脂質成分はコレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)です。これらの脂質は体中の細胞が生きていくために必要な成分ですが、脂質は血液には溶けないので、LDLやVLDLと呼ばれる粒子に含まれて血液中に溶けています。血液中の脂質の濃度が高い状態が何年も続くと血管の内側に炎症が起きてコレステロールが溜(た)まり、内腔(ないくう)が狭くなって、血液が流れにくくなります。そしてあるとき突然、血の塊ができて血管が詰まり、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)などの恐ろしい病気を発症します(図)。

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図 コレステロールが血管の壁に溜まって動脈硬化を起こす

LDLに含まれるコレステロール、すなわちLDLコレステロールの値が高ければ高いほど動脈硬化が進み、逆に低ければ低いほど動脈硬化が起きにくいことが分かっています。このLDLコレステロールの正常値は140mg/dL未満ですが、糖尿病や狭心症などの病気を持つ方は、より低い濃度にコントロールするように基準値が設定されています。

血液中の中性脂肪の濃度も高いと動脈硬化を起こしやすくなります。特に、食後に血液中に出てくるレムナントという粒子には中性脂肪が多く含まれていて、食後に中性脂肪が高い方は動脈硬化が進みます。このレムナント粒子を低下させることも動脈硬化の予防にはとても重要です。

脂質異常症・動脈硬化の診断と治療

脂質異常症は生活習慣から発症することがほとんどですが、中には体質や遺伝子によって脂質異常をきたす方が存在します。そのような方は動脈硬化を起こす可能性が高いのですが、適切に診断され、治療を受けている方はほんの一握りしかいません。当科では脂質異常症を専門的に診断し、患者さん一人ひとりに合った治療目標を設定して脂質の管理を行っています。

また当科では、血管の具合を調べる検査を簡単なものから精密なものまで患者さんに応じて行い、動脈硬化の早期発見、早期治療に努めています。専門の知識を持った管理栄養士と理学療法士が食事療法と運動療法のアドバイスを行います。薬物治療が必要な方には、専門医がより安全で副作用の少ない薬を患者さん一人ひとりに合わせて処方します。最近ではLDLコレステロールを強力に下げると、一旦できてしまった動脈硬化の症状が改善することが分かってきました。最新のコレステロール低下薬を使用して、積極的な動脈硬化治療を行うことが可能です。

更新:2024.10.07