肺がんの定位放射線治療
札幌医科大学附属病院
放射線治療科
北海道札幌市中央区

早期肺がんとは
肺がんの中でも腫瘍(しゅよう)の大きさが4cm以下で、リンパ節転移がない場合はステージIの早期肺がんと診断されます。治療法としては、手術による切除のほかに「定位放射線治療」と呼ばれるピンポイントの放射線治療が適応となる場合があります。なお、ステージII以上の肺がんにはピンポイントではなく、胸部の広い範囲に放射線治療を行う場合があります。
放射線治療とは
放射線治療とは、がん細胞に放射線を照射することでがん細胞の死滅をめざす治療です。放射線治療機器やコンピューター、また放射線生物学が発達したことで急速に進歩しました。高い治療効果と少ない副作用をめざして、がん細胞に多くの放射線量を照射し、周囲の正常組織にはできる限り少ない量の放射線を照射する方法が開発されています。
定位放射線治療とは
定位放射線治療とは、放射線の量や回数を調整し、また、できるだけ正常細胞には放射線を照射せず、がん細胞のみに放射線を照射するよう工夫して行われる放射線治療です。ピンポイント照射ともいいます。この治療の特徴は腫瘍局所に高い治療効果が期待でき、かつ正常細胞の放射線被曝(ひばく)を最低限に抑えられ、放射線による肺炎などの副作用を低減できることです。

肺がんは患者さんの呼吸により体内で移動するため、腫瘍に正確に放射線を照射するには高い技術が必要ですが、近年、放射線治療の技術は劇的に進歩し、従来よりも高い精度での治療が可能になっています。

治療の期間は1~2週間、実際に治療にかかる時間は1日30分程度です。照射前の準備として固定具の作成やCT撮影が必要ですが、体に大きく負担がかかるものはありません。実際の治療も痛みを感じることはなく、麻酔も必要ありません。また外来通院で治療可能です。
費用は自己負担割合が3割の患者さんで22万円程度となります(実際の支払額は患者さんの自己負担限度額などによって異なります)。
更新:2024.09.23