胃がんの内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

札幌医科大学附属病院

消化器内科

北海道札幌市中央区

胃がんとは

胃の壁は、粘膜、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層(しょうまくかそう)、漿膜から構成されています。胃がんの細胞は粘膜から発生し、徐々に外側にある漿膜に向かって増殖していきます。がんが粘膜下層にとどまっているものを早期胃がんといいます。一方、がんが固有筋層以下にまで進んでいるものは、すべて進行がんといいます(図1)。

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図1 早期胃がんと進行胃がん

胃がんの原因

胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染、喫煙、塩分の取りすぎなどでリスクが高まるといわれています。近年、胃がんにかかる方の数は横ばいですが、検診の普及や治療の進歩によって、胃がんで亡くなる方の割合は減少しています。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

近年、内視鏡の進歩によって早期に発見される胃がんが多くなってきました。胃がんの治療方法は「内視鏡治療」「外科治療」「抗がん剤治療」などがあります。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、電気メスを用いた内視鏡治療です。早期胃がんは内視鏡治療もしくは外科治療を検討します。そのなかで、リンパ節転移の可能性が極めて低く、病変部が一括切除できる大きさと部位にある場合は、原則、内視鏡治療を行います。

ESDでは、内視鏡で病変部を見ながら、切除範囲に高周波で印を付けます。その後、病変下に生理食塩水などを注射し、病変部を隆起させます。そして、印を付けた外側を電気メスの高周波で剥離します(図2)。

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図2 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

ESDによって、大きな病変も切除でき、再発率が低下し、確実な病理診断ができるようになりました。腹部を切開することなく消化管がんの治療ができるため、患者さんの体の負担を減らすことが可能です。

更新:2024.09.23

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