肝臓・胆道・膵臓がんに対する治療の選択肢
札幌医科大学附属病院
腫瘍内科
北海道札幌市中央区

肝胆膵がんとは
肝臓がんは、慢性肝炎に関連して生じることが多いです。肝臓の機能が保たれるように治療を選ぶことが大切となります。胆道がんは、肝臓で作られた胆汁が十二指腸に流れる道筋の胆管や胆嚢(たんのう)から発生するがんです。胆汁を流れやすくする治療とともに、がんの治療を行います。膵臓がんは膵臓で作られた膵液の通り道から発生するがんです。治りにくいがんの1つで、複数の治療を行うことが多いです。
原因、症状、検査
肝がんの原因はC型・B型肝炎ウイルス関連が多かったのですが、最近は脂肪肝関連のものが増えています。かなり進行するまで症状はなく、定期的な血液検査と画像検査(超音波検査、CT、MRI等)で発見されます。
胆道がんは、膵管と胆管が十二指腸の壁の外で合流する膵管胆管合流異常が危険因子として知られています。症状は黄疸(おうだん)や右わき腹の痛みなどです。膵がんは糖尿病、慢性膵炎や膵管内乳頭状粘液性腫瘍(すいかんないにゅうとうじょうねんえきせいしゅよう)が危険因子として知られ、遺伝性のものもあります。症状は腹痛、黄疸、腰背部痛、体重減少などです。胆道がんと膵がんは、血液検査、超音波検査、CT、MRIと内視鏡を用いた検査で診断をします。

治療
肝がんの治療には、手術、ラジオ波焼灼療法(はしょうしゃくりょうほう)、肝動脈塞栓術(かんどうみゃくそくせんじゅつ)、分子標的治療薬(内服)や免疫チェックポイント阻害薬(点滴)など多数の方法があります。肝臓の機能が保たれるように治療を選択します。複数の治療法を組み合わせることもあります。
胆道がんと膵がんの治療には手術、化学療法(抗がん剤治療)、放射線治療があります。手術が最も有効と考えられており、手術が適さない場合は、そのほかの治療の中から適切なものを選んで行います。膵がんは、再発することが少なくないため、手術前後に化学療法を行うことが推奨されています。現在、外来で化学療法を行うことが多くなってきています。
更新:2024.09.23