「空咳」「息切れ」に注意!間質性肺炎ってどんな病気?
札幌医科大学附属病院
呼吸器・アレルギー内科
北海道札幌市中央区

間質性肺炎とは?
間質性肺炎は、肺の間質という部分に起こるさまざまな病気の総称です。「空咳(からせき)」といわれる痰(たん)の少ない咳や軽い運動で息切れがする「労作時の息切れ」が現れます。原因には、関節リウマチなどの膠原病(こうげんびょう)に伴うもの、薬の副作用によるもの、粉じんやカビなどの吸入によるものなどがあります。原因不明のものは特発性間質性肺炎と呼び、国の指定難病となっています。各々の間質性肺炎で今後の見通しや治療法が違うので、専門医による診断が重要です。
間質性肺炎って、どんな病気?
鼻や口から吸った空気は、最終的に肺の奥にある肺胞に運ばれます。その肺胞の壁の部分を「間質」と呼びます。肺胞に運ばれた酸素は、間質を通って、肺胞の周りに張り巡らされた毛細血管に取り込まれます。毛細血管からは二酸化炭素が肺胞に出されます。この間質に炎症が起こり、進行すると線維化をきたすのが間質性肺炎です(図)。

(「進行性線維化を伴う間質性肺疾患 患者様向け疾患啓発冊子」より引用)
間質性肺炎の治療法は?
原因が明らかな場合は、原因となる粉じんやカビなどを避けたり、薬を中止することで進行が止まることもあります。原因を除去しても進行が止まらない場合や、膠原病のように原因を除去することが難しい場合は、ステロイドや免疫抑制薬による治療を行います。
一方、間質性肺炎の中で最も患者数が多い特発性肺線維症は、ステロイドや免疫抑制薬による治療があまり効かないこともあり、命にかかわることが多い疾患でした。しかし今では、抗線維化薬が開発されたことによって、進行を抑えることができるようになりました。
抗線維化薬には、「ピルフェニドン(2008年承認)」と、「ニンテダニブ(2015年承認)」があります。いずれも進行を抑える薬なので、発症の早期から使用することが重要になります。「空咳」「息切れ」などの気になる症状がある場合、ためらわず医療機関を受診してください。
更新:2024.09.23