ウイルス性肝炎に対する現在の治療法は?
札幌医科大学附属病院
消化器内科
北海道札幌市中央区

ウイルス性肝炎とは?
ウイルス性肝炎(B型・C型)はそれぞれB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスが感染し、肝炎を生じるものです。いずれのウイルスも血液や体液を介して感染します。慢性肝炎になっても症状はありません。しかし放置すると肝硬変となり、その後、肝がんを発症する病気です。治療の目標はこのウイルスを減らすこと、排除することであり、最終的には肝がんにならないで健やかに生きることです。
ウイルス性肝炎って、どんな病気?
ウイルス性肝炎で主に問題になるのはB型とC型です。いずれも血液や体液を介して感染しますが、かなり進行した状態になるまで症状はありません。B型肝炎ウイルス感染では、80~90%の方は最終的に肝炎がおさまり、肝機能が安定していきます。10~20%の方で慢性肝炎が持続し、その後、肝硬変そして肝がんを発症することがあります。C型肝炎ウイルス感染では60~80%の方が慢性肝炎となり、そのうち、30~40%の方が進行し肝硬変となり、さらに、年率7~8%の頻度(ひんど)で肝がんを合併します。
どんな治療があるの?
B型肝炎に対しては、ウイルスの増殖を抑え、肝炎を鎮静化させる核酸アナログ薬という飲み薬があります。B型肝炎ウイルスを、完全に体内から排除することは現在のところ不可能であり、極力ウイルス量を減らすことが目標になります。
C型肝炎には、直接作用型抗ウイルス薬という、やはりウイルスの増殖を抑える飲み薬を使用します。C型肝炎ウイルスは、完全に体内から排除することが可能で、非常に高い有効性が示されています。いずれの薬剤も副作用は少なく安全性の高い薬剤です。

ウイルス検査が陽性の方は肝臓専門医に相談してください。一緒に、肝炎ウイルスを抑え込みましょう。
更新:2024.09.23