じんましんの最新治療 治りにくいじんましん、新しい薬は試しましたか?

札幌医科大学附属病院

皮膚科

北海道札幌市中央区

じんましんとは?

じんましんは紅斑(こうはん)(体が赤くなる、かゆくなる)を伴う一過性の浮腫(ふしゅ)(むくみ)が出没する疾患です(写真)。

写真

じんましんの多くは体の違う箇所にも繰り返し出ることはあっても、個々の皮疹(ひしん)(皮膚にみられる病変)は通常24 時間以内に跡形もなく消失します。人によっては、気道閉塞(きどうへいそく)による呼吸困難や、血圧低下によるショックに進展することがあるため、注意を要します。当科ではじんましんの病型を分類し、必要な検査など行っています(表)。

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表 じんましんの病型と検査

じんましんの治療とは?

治療の第1は、原因・悪化因子を探し、それらを取り除いたり、避けたり(例えば、温度差や摩擦の強い衣類を避けるなど)することです。第2は薬による治療です。

じんましんにはさまざまな種類がありますが、そのほとんどの場合は、ヒスタミン(アレルギー症状の原因となる化学物質です)が血管および神経に働くことで症状が現れます。そこでヒスタミンの作用を抑えるために、抗ヒスタミン薬または抗アレルギー薬が用いられます。ただし、効果不十分な患者さんには近年、1か月に2本皮下注射する新しい治療が始まっています。

魚アレルギーの1つのアニサキスアレルギーは、原因を特定しにくいじんましんの1つで、「アニサキス」はサバ→カツオ→サンマ→アジ→イワシの順に多く、これらの魚を回避することになります。

治療目標は症状が現れないこと、または生活に支障のない程度になることです。

抗ヒスタミン薬は、脳に影響を与えず眠くならないものを選び、増やしたり変更したりもできます。患者さんによってはヒスタミン以外に作用する薬などを併用することもあります。それでも効果が乏しい場合は、悪い免疫を抑える薬のシクロスポリンAというものや新薬のオマリズマブという注射薬を併用します(図)。

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図 特発性のじんましんに対する薬物治療手順

新薬:オマリズマブ皮下注射について教えてください

2017年3月、オマリズマブが特発性(原因のわからない)の慢性じんましんの治療薬(既存治療で効果不十分な患者に限る)として発売されました。

オマリズマブは気管支喘息(きかんしぜんそく)の治療薬として開発された世界初の注射薬で、今までの抗ヒスタミン薬や補助治療と作用機序(*)が異なり、体の中のIgEというアレルギーを起こすタンパク質を減らします。

*機序:仕組み

4週間に1回皮下注射する薬で、費用は3割負担で約18000円/月と高額ですが、再開中断は自由であり難治性の患者さんの治療と満足度向上につながります。当科では、まずお試しで3か月使用して効果をみています。

更新:2024.09.23

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