ヒートショックと入浴中熱中症にご注意
札幌医科大学附属病院
総合診療科
北海道札幌市中央区

ヒートショックとは、急激な気温変化によって血圧が上下することで、心臓や血管に大きな負担がかかることをいいます。リビングから廊下や脱衣所に移動する際、急激な気温変化を経験するためにヒートショックによる心血管系の病気が急激に発症し、亡くなられる方が多くいます。
北海道は幸い、室内温度環境の変化が少ない傾向があるために、他の都府県と比較して、発生率は低いことが分かっています(1)が、入浴中の心肺停止のために救急搬送される事例は高齢化が進む中で後を絶ちません。入浴中の心肺停止事故のもう1つの原因として、「入浴中熱中症」が挙げられます。熱い湯船に長時間浸かることで、脱水となり、気がついたら湯船の中で意識を失っていた事例も多いのです。

入浴事故を防ぐためには、①室内気温は廊下を含め一定に暖かくする、②湯温は40℃として10分以内の入浴にする、③入浴中、様子を見に来てもらうといった予防策が重要になります。こうした予防策で安心・安全な入浴を楽しんでもらえればと思います。
【参考文献】
1)わが国における入浴中心肺停止状態(CPA)発生の実態 - 47都道府県の救急搬送事例 9360件の分析-東京都健康長寿医療センター研究所 高橋龍太郎 他 2014
更新:2024.09.23