2種類のロボットでさらに広がる泌尿器科手術の可能性

泌尿器科

2種類のロボットでさらに広がる泌尿器科手術の可能性

ロボット支援下手術に対する当科の取り組み

日本医科大学泌尿器科ロボット手術チームは10年以上の歴史を持ち、年間100件以上のロボット支援下手術を行っています。2022年より、ダビンチとhinotori™の2種類の手術支援ロボットが使用できるようになり、それぞれの特徴を活かした手術を日々行っています。前立腺(ぜんりつせん)がん、腎(じん)がん、腎盂(じんう)がん、尿管がん、膀胱(ぼうこう)がん、副腎腫瘍(ふくじんしゅよう)、腎盂尿管移行部狭窄症(きょうさくしょう)など、さまざまな疾患に対応しています。

従来の手術とロボット支援下手術の違い

手術は、人間の目と手(指)を使用して行います。ロボット支援下手術は、人間が手術支援ロボットの目と手を借りて手術を行います。手術支援ロボットの目とは、体内に入る特殊カメラを指します。現代の最新の映像技術から拡大・縮小が自在にでき、かつ内部の血管も認識することができます。

手術支援ロボットの手とは、ロボットの各腕「アーム」の先端についている鉗子(かんし)になります。鉗子にはさまざまな種類がありますが、指が2本付いた形をしているものが多く、各指の長さは5mm~1cmとなります(写真1)。人間の指がおよそ5~8cm程度なので、約10分の1の細かい作業が可能となります。

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写真1 指を開いた人の手と鉗子(先端を開いた状態)の比較

また人間の手では起こってしまう「手ぶれ」についても手術支援ロボットでは補正することができます。その結果、出血量を減らすことで入院期間を減らし、正確な切除で、最小限かつ確実な切除が可能となります。

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写真2 ダビンチの様子
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写真3 hinotori™の様子

当院泌尿器科の治療において、ロボット支援下手術は必須です。各疾患については、詳しくは(「腎がん診療の実際」「症状を伴わない血尿は膀胱がんのはじまり?」「前立腺がん診療の実際」)をご覧ください

当科手術チームの体制

日本医科大学泌尿器科ロボット手術チームは、10年以上の歴史を持つ手術チームです。泌尿器科での手術歴15年以上の経験を持つ日本泌尿器科学会専門医9人、日本泌尿器科学会指導医8人、日本泌尿器内視鏡ロボット学会腹腔鏡技術認定医5人、日本泌尿器内視鏡ロボット学会泌尿器ロボット手術プロクター3人、内視鏡外科学会腹腔鏡技術認定医5人を含む14人の医師で構成しています。

前立腺がん、腎がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がん、副腎腫瘍、腎盂尿管移行部狭窄症と、国内で保険適用となっているすべての泌尿器科の範囲でロボット支援下手術が可能で、年間100件以上のロボット支援下手術を継続して実施しています。皆さまの健康に少しでも貢献できるように、日々鍛錬を行い、技術の向上に努めています。

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図 ロボット支援下手術における当科の導入状況

更新:2025.12.12