機器を用いたパーキンソン病治療
脳神経内科

パーキンソン病とは?
パーキンソン病は、動作の遅さ、手足や体の硬さ、手足の震えなどの運動障害をきたす疾患で、中脳にある神経の機能が悪くなることで発症します。パーキンソン病で障害される神経から出る伝達物質を補うため、ドパ(レボドパ)という薬剤を用いると症状は劇的に改善します。しかし病期が長くなると、ドパの効果も少しずつ不安定になっていきます。
負担を減らすための治療
ドパは非常に効果的な薬剤で、使用後に症状は大きく改善します。しかし数年経つとドパの効果も少しずつ不安定になり、効き目はありますが効果時間が短くなったり(ウェアリングオフ)、効いていても体が勝手に動いてしまう症状(ジスキネジア)が出てきたりします(図1)。その対策として、ドパの服薬回数を増やす、他剤の追加などがありますが、毎日の服用回数/錠数の増加は患者さんにとって大変な負担です。

そこで、機器を用いた治療が登場しました。その1つがレボドパ・カルビドパ配合経腸用液療法(カルビドパはドパの分解を抑える薬剤)です。これは内視鏡で胃ろうと呼ばれる孔(あな)を造設し、そこからドパの吸収部位である空腸までチューブを挿入し、持続的にドパをポンプで流す治療です(図2)。

もう1つはホスレボドパ・ホスカルビドパ24時間持続皮下投与で、これは皮下にドパの前駆物質を持続投与します(図3)。この治療法では胃ろう造設などの手術は一切必要としません。

いずれも「図1」のような状況とは異なり、血中濃度を一定に保つことができるため、ウェアリングオフ症状を改善させ、ジスキネジアの発現を抑えます。当院では、適応判別から治療導入までを、外来も含めた専門的な視点で行っています。
機器を用いたそのほかの治療
機器を使う治療として、ほかに、脳深部刺激療法もあります。手術適応は当科で判断し、連携しているいくつかの他施設と相談のうえ、同施設で手術を行います。術後の機器の管理・調整、メンテナンスは当院で行っています。他院からの転院もすべて受け入れ可能です。
更新:2025.12.12
