胆道・膵臓がんに対する内科的治療

日本医科大学付属病院

消化器・肝臓内科

東京都文京区千駄木

胆道・膵臓がんに対する内科的治療

胆道・膵臓がんとは?

胆道(たんどう)は肝臓(かんぞう)から十二指腸までの胆汁(たんじゅう)が通る管の総称で胆管(たんかん)、胆嚢(たんのう)、十二指腸乳頭に分けられます(図1)。胆汁は肝臓で作られる消化液で、十二指腸に流れ、食べ物の主に脂肪成分の消化吸収で重要な役割を果たします。この胆道から発生するがんを胆道がんといいます。

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図1 肝臓、胆道、膵臓の解剖

膵臓(すいぞう)は胃の後ろにある15cmほどの細長い臓器で、膵頭部、膵体部、膵尾部に分けられます。膵臓の頭部は十二指腸乳頭に接しています。膵臓の中には膵液を運ぶ膵管があり、膵臓がんのほとんどはこの膵管に発生します。

胆道がんの症状・診断、内科的治療

胆道がんはがんの死因において、2021年で男性で7位、女性で6位です。胆汁が十二指腸に流れなくなり、黄疸(おうだん)(体が黄色くなること)の症状で見つかることが多いがんです。黄疸が出ると尿が紅茶のような色になったり、便が白くなったりします。早期には症状が出にくいことから、見つかりにくいがんです。進行すると食欲低下、腹痛などの症状も出現します。

胆道がんの診断には、腹部CT、MRI、腹部超音波(腹部エコー)、超音波内視鏡、内視鏡的逆行性胆管造影などの検査を行い、手術可能か判断します。治療根治(※1)をめざすためには手術が一番ですが、手術できない場合は抗がん剤治療や放射線治療などを行います。

※1 根治:完全に治すこと。治癒

膵臓がんの症状・診断、内科的治療

膵臓がんは2021年の統計でがんの死因が男女ともに4位で、近年増加してきています。また膵臓がんのリスクとして慢性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍(ねんえきせいしゅよう)、糖尿病、喫煙、大量飲酒、家族歴などがあります。

膵臓がんは小さいうちは症状が出にくく、早期発見が難しいがんです。健診や人間ドックで偶然見つかることもあります。進行すると食欲不振、体重減少、腹痛、背部痛、黄疸などが認められます。

膵臓がんの診断には、腹部CT、MRI、腹部超音波、超音波内視鏡、内視鏡的膵管造影の検査があります。超音波内視鏡は膵臓に直接針を刺して組織検査を行うことができます。

膵臓がんの治療は手術、薬物療法、放射線療法などがあります。内科的治療では薬物療法(主に抗がん剤治療)を行っています。

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図2 当院の膵臓がんと胆嚢がんの入院患者数

更新:2025.12.12

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