認知症ケアチーム チーム医療の担い手 認知症ケア

脳神経内科

認知症ケアチーム チーム医療の担い手 認知症ケア

認知症ケアチームとは?

認知症は脳の病気により記憶、思考、言語能力、判断力などに障害を起こし、日常生活に支障をきたす状態をいいます。高齢社会に伴い、国内の認知症患者さんの数は2020年時点で約600万人、65歳以上の高齢者の約6人に1人と推計されています。

認知症患者さんの多くは脳の病気だけでなく、心臓病、糖尿病、整形外科疾患、悪性腫瘍(あくせいしゅよう)など、ほかの病気も患っていることが多いです。認知症ケアチームは、入院した認知症患者さんに対して、専門医師・認定看護師・薬剤師・社会福祉士の多職種チームを組み、患者さんの入院中および退院後の療養生活が円滑に進むように取り組んでいます。

認知症ケアチームの構成と認知症ケア回診

認知症ケアチームは、専門医師2人(脳神経内科1人、精神神経科1人)、認知症認定看護師2人、社会福祉士2人、薬剤師5人から構成される多職種チームです。

認知症ケアチームは週2回(月・木曜)、病棟からの依頼内容に基づき認知症ケアラウンド(回診)を行っています(写真)。カンファレンス(検討会)で事前に患者さんの状態や生活環境について把握し、問題点を提示していきます。その後、病棟に訪問し、受け持ち看護師と一緒に患者さんの診察を行います。

写真
写真 認知症ケアラウンド(回診)

回診後は、担当医師や受け持ち看護師に、患者さんに対する看護、介護、服薬内容を中心とした具体的なフィードバックを行います。認知症ケア回診を通して、患者さんに病気のことだけでなく心や社会的な側面にも気を配り、介護を円滑に提供できるよう取り組んでいます。

認知症ケアチームの実績

私たちは、認知症ケアチームの活動を通して得られたことを検討し、入院中の患者さんにより良い医療や介護を提供できるように、日々取り組んでいます。認知症認定看護師のアドバイスにより、ストレスなく入院療養を継続する脳卒中(のうそっちゅう)患者さんの割合が3年間で14.9%から52.4%まで増えました(図)。また、不眠症状がある脳卒中患者さんに対して、薬剤師が担当医と薬剤選択を相談することにより、ベンゾジアゼピン系薬剤(抗不安薬)の使用割合が低下し、より自然な睡眠を促す適切な導入薬を使用する割合が増えました。

図
図 身体拘束解除期間を設けられた脳卒中患者さんの割合

このように、多職種が連携した認知症ケアチームが加わることで、適切なケアを受ける患者さんの割合が増えてきています。今後も認知症ケアチームの活動を継続して、より良い医療・看護・介護を患者さんに提供していきます。

更新:2025.12.12