胃がんの外科治療とは?

外科 消化器内科

胃がんについて教えて

胃がんは男性に多く、50歳頃から増えて80歳代でピークを迎えます。男性では最も多く、女性では乳がん、大腸がんに次いで3番目に多いがんです。喫煙や塩分の多い食事、そして胃内にピロリ菌がいることが胃がん発症のリスクとされています。胃がんになる人はまだまだ多いですが、死亡率は減ってきており、適切な治療を行えば治りやすいがんの1つです。

胃がん手術には、どんなものがあるの?

ある程度進行したがんは、リンパ節転移の可能性が出てくるので、胃の切除が必要になります。胃がんの手術には、幽門側胃切除術(ゆうもんそくいせつじょじゅつ)、胃全摘術、噴門側胃切除術(ふんもんそくいせつじょじゅつ)などがあります。ここでは、最も多く行われている幽門側胃切除について説明します(図)。

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図 幽門側胃切除

幽門側胃切除は、周囲のリンパ節とともに胃の出口側を3分の2程度切除します。その後、残った胃と十二指腸、または小腸とをつなぎます。

胃がんに対する腹腔鏡手術について教えて

お腹(なか)に5〜10mmの孔(あな)を複数あけ、そこからカメラと手術器具を腹腔内(ふくくうない)に入れ、モニター画像を見ながら手術します(写真1)。傷が小さく痛みが軽いだけでなく、出血量も少なく、開腹手術に比べて体の負担が軽くなります。

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写真1 腹腔鏡手術

当院では、2020年度に胃がんの手術を受けた患者さんは約60人で、そのうち半数以上が腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)でした。厳しい手術技術審査(合格率20%)に合格した、腹腔鏡下胃がん手術の資格を持つ医師(日本内視鏡外科学会技術認定医)が中心となって執刀しています。

ロボット支援(ダビンチ)手術について教えて

2019年7月から、次世代の手術といわれるロボット支援下の腹腔鏡下胃切除を開始しました(写真2)。当院ではその実績が認められ、健康保険が適用されています。

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写真2 ロボット支援下の腹腔鏡下胃切除

ロボット支援手術の利点は、
・手術器具の先端に関節があり、腹腔内で道具を自由自在に操作できること
・手術器具の手ぶれが補正され、より正確に操作できること
・10倍まで拡大可能な高解像度の3Dカメラが内蔵されており、肉眼では認識困難な神経、微小血管などを識別しながら手術が行えること
などです。ロボットを用いれば、米粒1つの表面に小さな文字を正確に書くことも容易です。その結果、より精密に手術できるようになりました。実際、従来の腹腔鏡下胃切除術よりも、術後の合併症が少ないと報告されており、さらなる胃がんの治療成績向上が期待されています。

手術後の経過は?

手術翌朝から見守り下での歩行を開始し、水分も摂取できます。手術4日目からお粥(かゆ)の食事が始まります。順調にいけば術後10日間程度で退院が可能です。

がんの進行度によっては、再発予防のために退院後1年間、副作用が比較的軽い抗がん剤を内服してもらうことがあります。

更新:2024.10.08