さいせいふりょうせいひんけつ
再生不良性貧血
概要
再生不良性貧血は、何らかの原因で造血幹細胞(※1)が障害を受け、体内で十分な量の新しい血液細胞が作られなくなることで起こる病気です。この病気になると、疲労感を覚え、感染症に罹患しやすくなり出血が止まりにくくなります。
再生不良性貧血はまれですが、重篤な病気でありどの年齢でも発症する可能性があります。突然発症することもあれば、徐々に進行して時間の経過とともに悪化することもあります。症状は軽度の場合もあれば重度の場合もあります。
再生不良性貧血の原因
再生不良性貧血にははっきりとした原因がわからない場合が多いとされています。しかし、原因として以下のようなものが考えられています。
- 1.自己免疫反応(じこめんえきはんのう)
- 自分のからだを守るための免疫機構(※2)が、自分の骨髄の造血幹細胞を誤って攻撃してしまい、血液細胞がつくられにくくなることがあります。
- 2.放射線や化学物質
- がんの治療などで高い放射線をあびたり、一部の薬剤や化学物質に長くさらされたりすることで、骨髄のはたらきが傷つけられることがあります。
- 3.ウイルス感染
- 肝炎ウイルスやエプスタイン・バール・ウイルス(EBウイルス)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)などの感染症が引き金となり、再生不良性貧血を引き起こす可能性があります。
- 4.有毒化学物質への曝露
- 殺虫剤や殺虫剤に使用されている有毒化学物質やガソリンの成分であるベンゼンなどは、再生不良性貧血と関連があるとされています。このタイプの貧血は、病気の原因となった化学物質への繰り返しの曝露を避けることで改善する可能性があります。
これら以外にも、さまざまな要因が組み合わさって骨髄がダメージを受け、血液細胞の産生が少なくなることがあるといわれています。

※1:血液細胞のもとになる細胞
※2:病原体や異物を体外に排除する仕組み
再生不良性貧血の症状
再生不良性貧血には症状がない場合があります。症状がある場合は、次のような兆候や症状が見られます。
- 倦怠感
- 息切れ
- 心拍数(脈拍数)が速いまたは不規則
- 青白く顔色が悪い
- 頻繁な感染または長期にわたる感染
- 原因不明または簡単にあざができる
- 鼻血と歯茎からの出血
- 切り傷からの出血が長引く
- 皮膚の発疹
- めまい
- 頭痛
- 熱
再生不良性貧血は、一時的なものもあれば、慢性化するものもあります。重篤化して致命的になる場合もあります。
再生不良性貧血の検査・診断
再生不良性貧血が疑われるとき、医師は血液の状態や骨髄の機能を調べるため、次のような検査を行います。
- 1.血液検査
- 血液中の赤血球(※3)・白血球(※4)・血小板(※5)などの数や形、ヘモグロビン(※6)の量を調べます。
- 2.骨髄生検(こつずいせいけん)
- 骨盤(こつばん)の骨などから骨髄液を採取し、血液細胞がどの程度つくられているかを調べます。これによって、骨髄がどのくらいダメージを受けているかを確認します。
※3:酸素を全身に運ぶ役割
※4:病原体や異物を体外に排除する役割
※5:出血時に血液を固めて止める役割
※6:血液中で酸素を運ぶたんぱく質
再生不良性貧血の治療
- 1.免疫抑制療法(めんえきよくせいりょうほう)
- 自己免疫反応で骨髄がダメージを受けていると考えられる場合に、免疫を抑える薬を使います。代表的な薬として、抗胸腺細胞グロブリン(こうきょうせんさいぼうグロブリン)やシクロスポリンなどがあります。
- 2.造血幹細胞移植(ぞうけつかんさいぼういしょく)
- 若い患者や重症の患者に行われることが多い治療法です。健康なドナー(提供者)の骨髄や末梢血(※7)(まっしょうけつ)から採取した造血幹細胞(血液細胞のもとになる細胞)を移植し、正常な血液細胞をつくる能力を回復させます。
- 3.輸血
- 赤血球や血小板が極端に減ってしまった場合、輸血によって血液細胞を補います。ただし、何度も輸血を行うと体内に鉄分がたまりやすくなるなどの問題が生じることがあるため、慎重に行われます。
※7:血管内を流れる血液
再生不良性貧血の予防
再生不良性貧血には明確な予防法が確立されていませんが、以下の点に注意することで、リスクを下げたり早期に気づいたりすることが期待されます。
- 定期的な健康診断や血液検査を受ける
- 肝炎ウイルスなどの感染症を防ぐため、手洗いやワクチン接種を適切に行う
- 有害な薬物や化学物質、放射線への不要な暴露をできるだけ避ける
更新:2026.05.13



