暑さ到来!夏の熱中症から身を守るための予防対策

メディカルブレイン編集部

いよいよ7月。夏の訪れとともに、熱中症の発症リスクも高まっています。

日本の平均気温は年々上昇傾向にあり、2022年には、東京都で過去最多の16日間の猛暑日が記録されました。さらに、東京都の7・8月の平均湿度は80%前後と高く、熱中症を発症しやすい状態です。

熱中症に対する正しい知識を持ち、適切な予防策を講じて、健康で楽しい夏を過ごしましょう。

熱中症が起こる仕組み

人間の体は、適切な体温を維持するために、自ら熱を上げたり下げたりする自己調節の仕組みを持っています。しかし、暑い環境や激しい運動などによって体温が急上昇すると、この体温調節の仕組みが正常に機能しなくなり、熱中症を引き起こすことがあります。

体温調節は主に以下の2つの方法で行われます。

  • 汗をかくこと
  • 血管を広げて皮膚の表面に血液を送ること

気温や湿度が高すぎると、十分に汗をかくことができなくなったり、血液がうまく流れなくなったりするため、体内に熱がたまって、体温が上昇し、熱中症の症状が現れます。

図

※熱中症の原因や症状については「熱中症」の解説ページをご覧ください。

熱中症を引き起こしやすい「環境」「体」「行動」

熱中症の発症には、主に「環境」「体」「行動」の3つの要因が関与しており、これらが組み合わさることで発症リスクが高まります。当てはまる条件が多い場合は特に注意が必要で、場合によっては外出計画を変更するなどの対応を検討しましょう。

特に、高齢者や小さな子ども、慢性的な病気を抱えている人、肥満や心血管疾患のある人などは、熱中症が重症化する可能性があるため、症状が現れた場合は速やかに医療の専門家に相談するなど、迅速な対応が必要です。

熱中症を引き起こす条件

【環境】・気温が高い ・湿度が高い ・風が弱い ・日差しが強い ・閉め切った室内 ・エアコンがない ・急に暑くなった日 ・熱波の襲来 【体の状態】・高齢者・乳幼児、肥満 ・体に障害のある人 ・持病(糖尿病、心臓病、精神疾患など) ・低栄養状態 ・脱水状態(下痢、インフルエンザなど) ・体調不良(二日酔い、寝不足など) 【行動】・激しい運動 ・慣れない運動 ・長時間の野外作業 ・水分が補給しにくい行動

熱中症の予防

熱中症は、適切な予防策によって大部分を防ぐことができます。
日常生活での注意ポイントと、それぞれポイントごとの具体的な対策をまとめました。

①暑さを避けましょう

暑さを避けるための具体的な対策を、「行動」「住まい」「衣服」に分けてまとめました。

行動の工夫

  • 暑い日は無理な外出を控える
  • 天気予報を参考にし、暑い日や時間を避けて外出や行事の日時を検討する
  • 屋外では日なたを避け、日陰を選んで歩く
  • 日なたでは積極的に日傘や帽子を使用する
  • 涼しい場所に避難する
  • 適宜休憩する、がんばらない、無理をしない
  • 携帯型扇風機や保冷材などのグッズを活用する

住まいの工夫

  • 風通しをよくする
  • 窓から差し込む日光を遮る(ブラインド、すだれ、日射遮断フィルムなど)
  • 我慢せずに冷房を入れ、扇風機も併用する
  • 気化熱を利用する(夕方の打ち水など)
  • 外部の熱を断熱する(自宅断熱性能の確認・改善、反射率の高い素材を屋根に使うなど)

衣服の工夫

  • ゆったりした衣服にする
  • 襟元をゆるめて通気する
  • 吸汗・速乾素材や軽・涼スーツなどを活用する
  • 炎天下では、輻射(ふくしゃ)熱を吸収する黒色系の素材を避ける
  • 日傘や帽子を使う(帽子は時々はずして、汗の蒸発を促す)

②小まめに水分を補給しましょう

体温を下げるためには、汗をかくことがとても重要です。汗の原料は血液中の水分や塩分なので、体温調節のためには、汗で失った水分や塩分を適切に補給する必要があります。

水分補給のポイント

  • 小まめに水分補給
  • (のど)が渇く前に水分補給
  • アルコール飲料での水分補給はNG
  • 起床時、入浴前後に水分補給
  • 大量に汗をかいた時は塩分も忘れずに

③急に暑くなる日に注意しましょう

人間が上手に発汗できるようになるためには、暑さへの慣れが必要です。暑さに慣れてくると、より早く汗が出るようになり、汗に無駄な塩分を出さないようになってきます。

急に暑くなったり、久しぶりに暑さに直面すると、体がまだ暑さに慣れていないため、熱中症になりやすくなります。無理をせずに、徐々に暑さに慣れるように工夫しましょう。

④暑さに備えた体づくりをしましょう

暑い日が続くと、体が次第に暑さに順応し、より効果的な体温調節ができるようになってきます。これを「暑熱順化(しょねつじゅんか)」と呼びます。

暑熱順化は「やや暑い環境」で、「ややきつい」と感じる強度の運動(ウオーキングなど)を、毎日30分程度継続することで獲得できます。

実験的には、暑熱順化は運動を開始して数日後から始まり、2週間程度で完成するといわれています。日頃からウオーキングなどで汗をかく習慣を身に付けることで、夏の暑さに対抗し、熱中症にかかりにくい体を作ることができます。

⑤自分の体力や体調を考慮しましょう

熱中症の発症は、その日の体調が大きく影響します。発熱や下痢、二日酔いのような状態は、脱水状態といえます。万全ではない体調のまま、暑い環境に身を置くことは避けましょう。体調が回復し、食事や水分を十分に摂取できるようになるまでは、暑い場所での活動は控えることが重要です。

熱中症は命に関わる重大な状態になることもあります。自分の体調をしっかり把握し、予防策を十分に講じて、暑い夏を乗り切りましょう。

更新:2023.08.22