明るい印象の肌に導く「ビタミンC」、どう取り入れるのが正解?
メディカルブレイン編集部
シミやソバカスが少ない明るく健やかな肌は、老若男女問わず憧れの的。そんなクリアな肌を手に入れるために効果的とされる代表的な栄養素の1つに「ビタミンC」があります。しかし、具体的にどのような効果があるのでしょうか?また、取れば取るほど効果的なのでしょうか?今回は、ビタミンCがもたらす美肌効果に焦点を当てながら、ビタミンCについて分かりやすく解説します。
美容はもちろん、健康にも必要不可欠な栄養素「ビタミンC」
ビタミンCとは?
ビタミンCは「アスコルビン酸」とも呼ばれる、水溶性の栄養素です。人間をはじめとする一部の動物は体内でビタミンCを生成することができないため、食事やサプリメントなどで摂取することが必要になります。
またビタミンCは、血管・粘膜・皮膚・骨・筋肉など体のあらゆる部分を強化し、傷の治癒にも関わるコラーゲンの生成にも必要不可欠な栄養素です。他にも、有害な活性酸素の働きを抑えて細胞の老化を防ぐ強い抗酸化作用、免疫機能の強化、腸内の鉄や銅の吸収の促進など、体内の至るところで美容に健康にと活躍しています。
多くの効能を持つビタミンCですが、今回は肌表面のシミ・ソバカスの基となるメラニン色素との関係についてお話しします。
シミ・ソバカスはなぜできるの?
紫外線を浴びると皮膚の内部で炎症が起き、肌内部にあるメラノサイト(色素形成細胞)内でメラニン生成の原因となる「チロシナーゼ」という酵素が活性化します。これが「チロシン」というアミノ酸に作用して酸化を促し「ドーパ」に変化、ドーパがもう一度チロシナーゼの作用を受けて酸化が進むと「ドーパキノン」となります。ドーパキノンは非常に酸化しやすい性質を持つため自動的に酸化が進み、シミ・ソバカスの基となる「メラニン」に変化するのです。
黒褐色の色素であるメラニンは、紫外線によるダメージが肌内部に届かないようにする防御機能を果たします。通常は、生成されたメラニンは皮膚のターンオーバーによって次第に垢となって剥がれ落ちるため、長く残ることはありません。
しかし、加齢やストレス、ホルモンバランスの影響や過剰に紫外線を浴びてしまうなどといったさまざまな要因で皮膚のターンオーバーが乱れることがあります。すると、生成されたメラニンが皮膚に残ってしまうことも。この残ったメラニンが、私たちが一般的に認識しているシミ・ソバカスなのです。
ビタミンCは、シミ・ソバカスに2つの効果でアプローチ
ビタミンCは、上で記したメラニン生成のメカニズムに対して、2つの効果が期待できます。
1つ目は、メラニンの生成を促す酵素であるチロシナーゼの活性を阻害すること。
2つ目は、一度作られてしまった黒褐色のメラニンを淡色のメラニンに脱色すること。
この2つの効果により、ビタミンCはシミ・ソバカスに効果的な栄養素であるとされているのです。
ビタミンCはどう取り入れるべき?
ビタミンCの必要摂取量は?
人間はビタミンCを体内で生成することができないため食事やサプリメントなどで摂取する必要がありますが、成人の場合、1日の推奨摂取量は100mgとされています。
男性 | 女性 | |||||
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年齢等 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 | 推定平均必要量 | 推奨量 | 目安量 |
0~5(月) | ― | ― | 40 | ― | ― | 40 |
6~11(月) | ― | ― | 40 | ― | ― | 40 |
1~2(歳) | 35 | 40 | ― | 35 | 40 | ― |
3~5(歳) | 40 | 50 | ― | 40 | 50 | ― |
6~7(歳) | 50 | 60 | ― | 50 | 60 | ― |
8~9(歳) | 60 | 70 | ― | 60 | 70 | ― |
10~11(歳) | 70 | 85 | ― | 70 | 85 | ― |
12~14(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
15~17(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
18~29(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
30~49(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
50~64(歳) | 85 | 100 | ― | 85 | 100 | ― |
65~74(歳) | 80 | 100 | ― | 80 | 100 | ― |
75歳以上 | 80 | 100 | ― | 80 | 100 | ― |
妊婦(付加量) | ― | ― | ― | +10 | +10 | ― |
授乳婦(付加量) | ― | ― | ― | +40 | +45 | ― |
【補足】 推定平均必要量は、心臓血管系の疾病予防効果、抗酸化作用効果から算定(壊血病の回避ではありません) 推定平均必要量:約半数の人が必要量を満たせる量 |
しかし、喫煙者やストレス過多の人、風邪や感染症にかかっている人、また妊娠中・授乳中の人はビタミンCの消費量が増加するため、より積極的に摂取するようにしましょう。
ビタミンCが不足するとどうなるの?
ビタミンCの不足による病気としてよく知られるのは「壊血病」です。コラーゲンの生成が滞るため、歯茎や皮下からの出血、骨の形成不全や貧血、倦怠感や食欲不振などといった症状が表れます。
また病気にまでは至らずとも、肌のハリが失われる、歯茎から出血しやすくなる、傷の治りが遅くなる、免疫力が低下して風邪などにかかりやすくなる、ストレスに弱くなる、など、ビタミンCの不足は体のあらゆる面においてさまざまな不調を引き起こします。
ビタミンCを取り過ぎたらどうなるの?
水溶性であるビタミンCは余分に摂取しても尿から排出されてしまうため、過剰摂取になるケースはごくまれです。しかし、サプリメントなどで大量に摂取した場合(約10g以上/日)、一時的に下痢や軟便、頻尿などの症状が出ることがあります。
また近年では、ビタミンCの過剰摂取状態かつ、血液量が不足する虚血状態によって組織や細胞中の酸素濃度が低下した場合、活性酸素を産生して細胞死を引き起こす可能性も示唆されています。しかしこの説の正否については研究段階であり、科学的な証明はまだありません。また、健康時なら特に問題にはなりません。
ビタミンCの摂取方法は?
日々の食事を基本とし、必要に応じて栄養補助食品や栄養機能食品、サプリメントや医薬品、点滴などで補いましょう。
ビタミンCは野菜や果物、芋類やでんぷん類などに多く含まれますが、中でも旬のものはビタミンCの含有量が多い傾向にあります。旬の野菜や果物を意識して食べるようにするのも、効率的なビタミンCの摂取を助けてくれるでしょう。
ビタミンCは水に溶けやすく熱にも弱いため、長時間水にさらしたり、加熱調理したりすることによって減少します。芋類はでんぷんによってビタミンCが保護されているので、加熱調理をしてもほぼ分解されずに残ります。
ビタミンCの含有量が多い代表的な食品は、以下の通りです。
- パセリ、ピーマン、ブロッコリー、キャベツなどの緑黄色野菜(※生食の場合)
- イチゴ、ミカン、キウイ、柿などの果物(※生食の場合)
- ジャガイモ、サツマイモなどの芋類
ビタミンCを効率的に取るには?
ビタミンCは水溶性の性質を持つうえ、体が一度に吸収できる量に上限もあるため、一気に摂取してもその分排出されてしまい、あまり効果的とは言えません。朝・昼・晩と、1日を通してこまめに摂取するようにしましょう。サプリメントなどを活用する場合、空腹時は吸収しても排出量が多くなりやすい傾向にあるため、タイミングとしては食後がおすすめです。
また、同じく抗酸化ビタミンであるビタミンE、ビタミンB群やビタミンP群、鉄分など、ビタミンCと相性の良い成分と一緒に摂取すると、相乗効果が期待できます。
まとめ:ビタミンCは、美肌に欠かせない栄養素!
ビタミンCには、シミ・ソバカスの基となるメラニン生成抑制効果以外にも、肌にうれしい効果があります。
肌にハリをもたせてくれる、美肌の素として知られるコラーゲンですが、実は、タンパク質(アミノ酸)にビタミンCと鉄が働きかけることで作られています。ビタミンCには鉄の吸収を助ける効果もあるので、コラーゲンの生成にも欠かせません。
若々しく美しい素肌を保つためにも、積極的に摂取したいですね。
更新:2024.10.28