2025年の花粉症事情を調査! 最近よく聞く「花粉皮膚炎」とは?
メディカルブレイン編集部

花粉症の人は年々増加傾向にあり、今や2人に1人以上が花粉による何かしらの症状を自覚していると言われています。毎年、花粉の飛散状況などをチェックしている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そもそも花粉症とはどんな疾患なのかに加え、2025年における花粉の飛散予測と対策、さらに近頃よく耳にする花粉による肌荒れ(花粉皮膚炎)について解説していきます。
(関連記事:2024年 花粉症対策と新たな治療法)
花粉症とは?
花粉症とは季節性のアレルギー性疾患の総称です。一部の植物の花粉がアレルギー原因物質として体内に蓄積され、一定量(※)を超えることで発症します。
※個人差があります
原因となる植物は、代表的なものとしてスギやヒノキ、ほかにもイネやヨモギ、カモガヤ、ブタクサ、シラカンバなど多岐にわたります。それぞれ花粉の飛散時期が異なるため、自分はどの植物の花粉によるアレルギーなのかを知ることも大切です。
(関連記事:「花粉症」/福井大学医学部附属病院)
花粉症の代表的な症状
花粉症がもたらす症状には、以下のようなものが挙げられます。
- くしゃみや鼻水、鼻づまり
- 目の痒みや充血
- 肌の赤みや痒み、乾燥や湿疹などの肌荒れの症状(花粉皮膚炎)

2025年の花粉の飛散状況
ここでは、代表的なスギとヒノキ花粉に関する、2025年の飛散状況についてお伝えします。
飛散量
例年または前年に比べ、飛散量はほとんどの地域で増加傾向にあります。九州や近畿地方を中心に2倍以上の飛散量となる地域もあるため、花粉症対策はしっかり行いましょう。
また、花粉の飛散量は前年の夏の気象条件が関係しています。2024年の夏は酷暑となり、「高温・多照」という花芽の形成に適した気象条件が揃ったことも一因です。
さらに花粉の飛散に関する特性として、前年に飛散量が少ない場合は翌年に増加し、前年に飛散量が多い場合は翌年に減少するという傾向が見られます。2024年春は花粉の飛散量が比較的少なかったことから、2025年春には飛散量が多くなっています。
飛散時期
スギ花粉の飛散開始時期は2月上旬頃から、ピークは2月下旬頃からとほぼ平年並みです。しかし例年の傾向として飛散開始時期は全国的に早期化しており、早いところでは1月中に飛散が始まったという報告も上がっています。また、ヒノキ花粉はスギ花粉より1か月ほど遅く、3月中旬〜下旬頃に飛散のピークを迎えます。

※仙台はヒノキのピークなし
参考文献:「2025年 春の花粉飛散予測(第4報)」2025春 スギ・ヒノキ花粉のピーク時期グラフ(調査元 日本気象協会)
花粉症対策について
症状を軽減する対症療法から根治を目的としたものまで、さまざまな治療法が存在します。
医療機関を活用した花粉症対策
- 薬物療法(経口薬や点鼻薬、点眼薬や注射薬など)
- 手術(レーザー治療)
- 免疫療法(舌下免疫療法や皮下免疫療法など)
特に舌下免疫療法は、花粉症を根本的に治す可能性があることで、近年注目を集めています。スギ花粉などのアレルギー原因物質を含んだ治療薬を3年~5年程度毎日舌の下に投与することで、根本的に体質を変える治療法です。約80%の人に効果があるとされ、薬の副作用が少なく、子ども(5歳以上)も治療ができるというメリットがあります。
ただし免疫療法は治療期間が3年〜5年程度と長めで、治療を開始できるのが花粉が飛散していない時期に限られ、さらに非常にまれですがアナフィラキシーショックがおこる可能性があるというデメリットも。各治療の適用条件などについては、医療機関の指示に従ってください。
自分でできる花粉症対策
- 外出時は、マスクや花粉対策用メガネなどを着用する
- 洗濯物を干す場所や衣類の素材、窓際の環境などに配慮し、極力室内に花粉を入れないようにする
詳細については、下記関連記事もご参照ください。
(関連記事:2024年 花粉症対策と新たな治療法)
花粉皮膚炎とは?
花粉との接触が原因で起こる、季節性の皮膚炎です。花粉に触れやすい、顔や首周りを中心に発症します。鼻や目周りの症状を伴うことが多いですが、それらがない方でも皮膚にだけ症状が出ることがあるため、見極めには注意が必要です。
花粉皮膚炎の症状
- 肌の赤み
- 痒み
- 乾燥によるガサガサ
- 湿疹などのブツブツ
- 腫れや浮腫
などが見られます。
すでに花粉症をはじめとしたアレルギー体質の方、角質層でのバリア機能が低下しやすい乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの方は、特に発症しやすくなります。
花粉皮膚炎の対策
前述の花粉症対策に加え、以下のような対策も有効です。
-
肌の保湿
乾燥は皮膚炎の大敵。スキンケアはもちろん、加湿器なども活用を。
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腸内環境を整える
腸内環境が整うことで、体の免疫機能、ひいては角質層のバリア機能が向上します。乳酸菌や食物繊維を多く含む食品を積極的に摂取するようにしましょう。
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ビタミン類の摂取
胃腸や鼻、口などの粘膜を正常化するビタミンA、コラーゲンの生成に関わるビタミンB、抗酸化作用のあるビタミンEなどがおすすめです。サプリメントなども上手に取り入れてみてください。
-
塗り薬など
すでに発症してしまった部位に関しては、炎症を抑える塗り薬も有効です。用法・容量を守ったうえで、かかりつけの医療機関から処方された薬を使用するようにしましょう。

花粉の飛散量増加が懸念される2025年。花粉症や花粉皮膚炎に関する症状や対策などについて今一度見直し、今年の花粉シーズンを乗り切りましょう!
更新:2025.03.03