梅雨・夏場は細菌性食中毒に注意!カンピロバクターなど4つの原因菌と予防対策

メディカルブレイン編集部

湿度の高い梅雨や、気温が上がる夏場では、細菌の活動が活発になります。そのため、ノロウイルスによる食中毒が多い冬とは異なり、高温多湿の時期は細菌性食中毒に注意が必要です。梅雨から夏にかけての時期に食中毒を引き起こす細菌やその症状、対策について説明します。

高温多湿の季節は、細菌の活動が活発になり食中毒につながる

ノロウイルスによる食中毒が最も多いが、流行のピークは冬

厚生労働省「食中毒統計」によると、2025年に発生した食中毒は1,172件で、患者数は24,727人です。そのうち、原因として最も多いのはノロウイルスで、発生件数は年間462件、患者数は18,566人に上ります。
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しかし、ノロウイルスは低温かつ乾燥した環境を好むため、流行のピークは例年冬場。2025年も例外ではなく、1~3月と11~12月の5か月間で発生件数は357件(患者数15,065人)と、多くは寒い季節に発生していることが分かります。

梅雨から夏にかけては、カンピロバクターをはじめとする細菌に要注意

グラフ:国内における2025年の食中毒発生件数
出典:厚生労働省「食中毒統計」より作成
グラフ:国内における2025年の食中毒患者数
出典:厚生労働省「食中毒統計」より作成

これらは、2025年に発生した食中毒の発生件数・患者数を示すグラフです。梅雨から夏にかけては、ノロウイルスによる食中毒が減少するのに対し、細菌性食中毒の発生割合が高くなっています。特に目立つのがカンピロバクターによる食中毒です。

そのほか、梅雨から夏にかけての時期に注意したい細菌には、サルモネラ菌、ブドウ球菌、ウエルシュ菌があります。続いては、それぞれの細菌による食中毒の症状や特徴を解説します。

主な細菌性食中毒の症状と特徴

細菌性食中毒で最も発生件数が多いカンピロバクター

カンピロバクターは鶏肉や牛肉の中にいる細菌で、生や加熱不十分の状態で食べた場合に食中毒を発症します。特に多く存在するのが鶏肉内で、この時期はできるだけ生食は避けて、鶏肉の中心部が白くなるまで火をよく通して調理することが予防になります。目安としては、鶏肉の中心部を1分以上、75℃以上で加熱することが推奨されています。

カンピロバクターによる食中毒は、梅雨や夏の時期に限らず年間を通して発生します。感染すると1~7日程度とやや長めの潜伏期間の後、下痢や腹痛、発熱、嘔吐(おうと)、頭痛、倦怠(けんたい)感といった症状が表れます。多くの場合、1週間程度で治りますが、乳幼児や高齢者など抵抗力が弱っている人は、重症化する恐れもあります。

主に鶏肉、鶏卵に存在するサルモネラ菌

サルモネラ菌は鶏卵や鶏肉に加え、スッポンやウナギといった淡水で養殖された魚介類に存在します。カンピロバクター同様に生食を極力避けて、中心部を75℃以上で1分以上加熱して食べることが、予防につながります。また、鶏卵を使用する際は、新鮮で殻にひびが入っていないものを冷蔵庫で保管し、期限内に食べるように徹底することが重要です。

サルモネラ菌による食中毒は、半日~2日ほどの潜伏期間の後、痙攣(けいれん)性の腹痛と吐き気が起こり、その後発熱や下痢、嘔吐といった症状が生じます。特に下痢は、1日に10回以上の便意をもよおすこともあるため、脱水症状にも注意が必要です。多くは1~4日で症状が改善しますが、重い症状の場合は長期間継続することもあります。

食べ物ではなく、多くの人の皮膚に常在する黄色ブドウ球菌

顕微鏡で見るとブドウの房のように見えることからブドウ球菌と呼ばれる細菌には、さまざまな種類があります。その中でも食中毒の原因になるのが黄色ブドウ球菌で、多くの人の皮膚や傷口、鼻の穴などに常在しています。

感染経路としては、人と接触した際に手指の傷口などから入り込む場合と、調理中に手指に付いていた黄色ブドウ球菌が食品に付着し、食品内でつくり出した毒素を食べることで取り込んでしまう場合の2種類があります。食中毒の原因となるのは主に後者です。調理前には必ず手洗いをすること、ラップなどを利用して食品に直接触れる時間を減らすこと、調理後の料理は早めに食べ、保管する場合は冷蔵庫を利用することなどが予防につながります。

黄色ブドウ球菌自体は熱に弱いのですが、食品内でつくり出す毒素は熱に強く、100℃で30分加熱しても分解されません。そのため加熱調理よりも、菌自体を食品に付けない、あるいは食品に付いた菌を増やさないことが大切です。

黄色ブドウ球菌による食中毒は、潜伏期間が30分~6時間と短いのが特徴で、その後は激しい腹痛や下痢、嘔吐を引き起こします。発熱はあまり見られません。

カレーやシチューなどの鍋の底で増殖するウエルシュ菌

ウエルシュ菌は人や動物の腸管、土壌など自然界に広く存在する細菌です。熱に強く空気を嫌うという特徴があるため、カレーやシチューなどの煮込み料理の鍋底に入り込んで増殖します。

予防するには、調理した煮込み料理はなるべく早く食べきることが大切です。残った煮込み料理を保管する際は、大きな鍋のまま保管せず、小分けにして急冷することが重要です。

ウエルシュ菌による食中毒の潜伏期間は食後6~18時間と短く、発症すると激しい痙攣性の腹痛や下痢が生じます。発熱や嘔吐といった症状は、ほとんど出ることはありません。

細菌性食中毒を防ぐ方法は?

「付けない」「増やさない」「やっつける」の3原則

細菌性食中毒は、食品内の細菌、あるいは細菌がつくり出す毒素を食べて体内に取り込むことで発症します。

そのため、細菌性食中毒予防の3原則は、手洗いや調理器具の洗浄・消毒を徹底する「細菌を食べ物に付けない」こと、適切な温度で食品を保管して調理後は速やかに食べる「食べ物に付着した細菌を増やさない」こと、加熱調理を行うことで「食べ物や調理器具に付着した細菌をやっつける」ことになります。

イラスト:食中毒予防の3原則イメージ。細胞を付けない、増やさない、やっつける。

基本的な予防法を徹底すれば、多くの場合で細菌性食中毒は防げる

ほかにも、細菌性食中毒を予防するうえで注意したいことがあります。

  • 食品の消費期限などを確認して購入する。
  • 購入した食品の水分が漏れないように、ビニール袋などに入れて持ち帰る。できれば保冷剤とともにビニール袋などに入れる。
  • 生鮮食品の購入は、買い物の最後に行う。
  • 購入した食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫で保管する。
  • 冷蔵庫には食品を詰め込み過ぎない。目安は7割程度。
  • 冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-18℃以下に保つ。
  • 生肉や魚を切った包丁やまな板は、洗ってから熱湯をかけたうえで再使用する。
  • 残った料理を保管する前にも手洗いを徹底する。
  • 残った料理を保管する際は、冷えやすいように底の浅い容器に小分けする。
  • 調理してから時間が経ち過ぎた料理は、思い切って捨てる。
  • 少しでも怪しいと感じる食べ物は、口にしない。

細菌性食中毒は、基本的な予防法を徹底すれば多くの場合で防ぐことができます。それでも腹痛や下痢、嘔吐などの症状が表れた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

更新:2026.07.27