スマホのショート動画視聴をやめられない!その理由は“ドーパミン中毒”かも?
メディカルブレイン編集部

夜、寝ようと思ってベッドに入っているのにスマホでのショート動画視聴をやめられず、いつまでも画面をスワイプして見続けてしまう――。こんな経験はありませんか?この行動には、脳の神経伝達物質の一つである「ドーパミン」が関係していると言われています。「ドーパミン」とは、どのような物質なのでしょうか?そして、ショート動画の視聴をやめるには、どうすればいいのでしょうか?
「ドーパミン」が脳に与える影響とは?
“ドパガキ”というスラングの語源は「ドーパミン」
スマホのショート動画の視聴がやめられず、夜ベッドに入った後でも画面を見続けてしまったり、食事中やトイレの間にもスマホを手放せなくなったりといった経験はありませんか?
SNSや動画配信サイトで画面をスワイプするたびに新しいショート動画が見られるようになった現代では、このような行動に心当たりのある人は少なくないでしょう。
この行動に強く関係していると考えられているのが、脳の神経伝達物質の一つである「ドーパミン」です。「ドーパミン」は、「快楽物質」として広く知られています。ショート動画視聴をやめられず、“ドーパミン中毒”ともいえるような状態になっている子どもを指すインターネットスラングとして、“ドパガキ”という言葉を目にすることも増えました。
ショート動画を見た分だけ、脳が「もっと欲しい」と感じるようになる
では、快楽物質である「ドーパミン」が脳内に放出されるとどうなるのでしょうか。まず、脳の中枢神経が興奮し、それが「快楽」や「喜び」といった感情につながっていきます。
この「快楽」や「喜び」といった感情を脳は「報酬(ご褒美)」として処理するのですが、ここに問題があります。
脳は一定の報酬が得られると、バランスを取るために同じ分の刺激を求める(渇望を感じる)ようになっています。これはいわば反射のようなもので、自らの意思でどうにかできるものではありません。さらに、脳は同じ刺激をずっと受け続けていると耐性がつくため、これまでと同じだけの報酬を得るために、より強い刺激を求めるようになります。
そのため、スマホのショート動画を見ている時に、「もっと好みの動画を」「もっと面白い動画を」と、いつまでも画面をスワイプし続けることにつながってしまうのです。

脳に「ドーパミン」を放出させて依存症につながる例としては、他にアルコールやギャンブルなどが挙げられます。アルコール依存症やギャンブル依存症は、WHO(世界保健機関)が正式に認定している病気です。ショート動画への依存やスマホ依存は、現時点ではWHOによって病気として認定されているわけではありませんが、注意が必要な状態であることは明白です。
ショート動画の長時間視聴は、ほかの悪影響も及ぼす!?
最近、若い人たちが本を読めなくなったという話や、若い人たちの間で前奏が長い曲の人気がなくなったという話を耳にすることがあります。これらも、ショート動画視聴による「ドーパミン」の過剰放出が原因となっている可能性があるのです。
ショート動画の長時間視聴によって「ドーパミン」が過剰に放出されると、先に述べたように脳は耐性がつくため、より強い刺激を求めるようになります。そのため、本のように長時間かけてじっくりと楽しむコンテンツや、前奏が長く「ドーパミン」が放出されるまでに時間がかかるコンテンツだと、その楽しさを感じにくくなっていると考えられています。

ショート動画の長時間視聴を避けるためにできることは?
自らの行動を制限する「セルフ・バインディング」を活用
スマホでのショート動画の長時間視聴は、脳の働きにも関係するため自らの意思でやめることが難しく、「時間を無駄にしてしまう」と思いながらも見続けてしまったというケースがよく見られます。
そこで効果的なのが「セルフ・バインディング」という方法です。
「セルフ・バインディング」には「自らを縛る」という意味があり、その言葉通り物理的に対象と距離を置き、自分の行動を制限できるようにすることを示します。
アルコール依存症の治療においても用いられていて、自宅に酒を置かない、外出する際にお金を持って出ない、飲酒仲間に連絡をしない、飲酒できる場所にはそもそも近寄らない、といった行動が挙げられます。
「セルフ・バインディング」を効果的にするためには、まず自分自身でスマホのショート動画に依存しているという事実を認め、そのうえで冷静に行動できる時間帯にその仕組みを作ってしまうことが必要です。
アプリの設定変更・削除や、代替行動を用意する
スマホのショート動画の長時間視聴を避けるためにできることとしては、まずアプリを開くまでの手間を増やし、すぐには開けない状態をキープすることです。
具体的には、アプリの利用制限時間の設定や、アプリのアイコンをホーム画面の奥の方に移動させてすぐにタップできないようにするといったことが挙げられます。場合によっては、アプリ自体をアンインストールすることを検討してもいいかもしれません。
次に、ホーム画面を白黒に設定し、カラフルな色による視覚的な刺激を防ぐことです。白黒画面に設定すると、カラフルだった画面に比べ、直感的に「面白そう」と感じることを抑えることができます。
最後に、スマホを触る習慣を、別の行動に置き換えることです。手持ち無沙汰になったらスマホではなく本や電子書籍リーダーを手に取る、ジョギングをする、水を飲むといったように、事前に代替行動を用意しておくことで、ショート動画に触れる時間を減らすことができます。

必要なのは、スマホと適切な距離を保つことです。スマホは、あくまで便利な道具でしかありません。スマホに人生を縛られるのではなく、スマホを上手に活用して、豊かな人生を歩めるようにしたいですね。
【参考文献】
『ドーパミン中毒』(新潮新書/アンナ・レンブケ著、恩蔵絢子訳)
更新:2026.08.21
