「命」をつなげるー平塚市民病院救急センター

平塚市民病院

救急科 看護科

神奈川県平塚市南原

救命救急センターとは

救命救急センターとは、急性心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳卒中、重度の外傷・熱傷などの一次および二次救急医療機関では対応が難しい、重症および複数の診療科領域にわたる重篤な救急患者を24時間体制で受け入れる三次救急医療機関です。生命の危機を伴う重症・重篤な救急患者に対する救命処置や高度な医療を総合的に提供する医療機関のことをいいます。

神奈川県には、当院を含め21病院が救命救急センター(うち、2病院は高度救命救急センター)に指定されています。

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写真1 救命救急センターに携わる職員

当院救命救急センターは、2017年4月1日に神奈川県から認可されました。重症・重篤患者さんに対する積極的かつ高度な治療を提供することはもちろんのこと、全次型救命救急センターとして、ER(emergency room:救急外来)の機能も担っています。

救急隊からの受け入れ要請があった患者さんを軽症~重症まで一元的に受け入れ、救急専任医が初期治療、必要な緊急処置を行います。救急専任医による初期治療の後に、さらなる治療が必要と判断された場合、各診療科と円滑な連携体制による専門治療が行われます。心肺停止、虚血性心疾患、心不全、大動脈疾患、脳血管障害、重症外傷、広範囲熱傷、急性腹症、消化管出血、敗血症、体温異常、意識障害、多臓器不全などの重症疾患に対し、救急専任医と各専門医が連携して救命のために診療にあたります。

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写真2 救急搬送後の救急車(救急車専用駐車場)

2016年度の救急搬送患者数は、7854人でした。救急搬送患者数は年々増加の一途です。「断らない救急医療」を展開しています。

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図1 救急搬送患者数年次推移

救急科・救急外科(院内標榜)

当院救命救急センターでは、広範な領域にわたる救急医療において、「ER診療」「救急・集中治療」「救急外科」の3つの軸からなるアプローチを行い、診療にあたっています。

①ER診療

内因性、外因性を問わず、軽症から重症まで受け入れています。救急車応需率は98.4%(2016年度)です。

②救急・集中治療

敗血症、ショック、ARDS(急性呼吸促迫(そくはく)症候群)、急性中毒、心肺停止蘇生後症候群などの重篤な疾患に対し、集中治療を行っています。

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写真3 蘇生室

③救急外科(acute care surgery)

私たちが最も得意とする分野で、外科と連携しacute care surgeryに取り組んでいます。腹部緊急症に対する外科的アプローチ、外傷外科、外科的集中治療を実践しています。

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写真4 ER内手術

重症外傷に対しては、止血目的に蘇生室で開胸・開腹手術を行うことがあります。蘇生室ではIVR(Interventional Radiology:画像下治療)も可能です。また、広範囲熱傷に対する外科治療、全身管理も行っています。

メディカルコントロール

救急医療では救急隊との連携は欠かすことができません。当院は湘南地区メディカルコントロール協議会に所属し、救急救命士が行う、気管挿管、静脈路確保、薬剤投与について、オンラインメディカルコントロール(電話通信下に医師から救急救命士への直接指示)を行っています。

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写真5 救命士実習

加えて、地域消防本部救急救命士の就業前実習、就業後再教育実習を通じ、プレホスピタルケア(病院前診療)の質を担保しています。

平塚市救急ワークステーション

救命救急センター内に、平塚市消防本部救急隊1隊が午前8時30分から午後5時まで常駐しています。キーワード方式で、医師・看護師が救急車に同乗し現場へ向かいます。重症傷病者に対しては、病院前から救急医療に参画しています。

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写真6 ワークステーション車両とメンバー
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図2 救急ワークステーション出動キーワード
総出動件数551件(2013年1月~2016年12月)
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写真7 小田原厚木道路上の交通事故(多数傷病者事案)

「救命のために役立つのであれば、医師・看護師は現場に赴くことも辞さない」という思いが、平塚市民の皆さんにお伝えできればと考えています。

屋上救命救急ヘリポート

神奈川県の災害拠点病院でもある当院は、屋上に21×21mの大型ヘリポートを有しています。ドクターヘリのみならず、消防ヘリ、県警ヘリ、自衛隊ヘリの離着陸が可能です。災害時はもちろん、重症患者の搬送や、山岳・水難救助事案における患者搬送にも使用されます。

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写真8 山岳救助訓練(2017年3月)

救急看護

当センターの看護体制は、救急外来と救急病棟からなります。救急外来看護師は、緊急処置介助に加え、日常から内視鏡検査、IVR、心臓カテーテル検査の介助を行い、緊急時に対応できる技術、知識を身につけています。救急病棟看護師は、人工呼吸器などの生命維持装置が装着された重症患者さんの急性期看護にあたっています。

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写真9 救急看護(IVR)

当センターには、救急認定看護師、集中ケア認定看護師、皮膚排泄ケア認定看護師がそれぞれ1人、日本DMAT隊員が2人おり、その専門性を生かして看護にあたっています。

多職種連携によるチーム医療

当センターは、医師・看護師だけで運営されているわけではありません。病棟に配属されている専任の薬剤師のほか、診療放射線技師、臨床工学技士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士らが密接に連携をとり、チーム医療を行っています。

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写真10 多職種によるチーム医療

当センターに入院される患者さんは重篤な病態であることが多く、このように院内の多職種が連携し、「患者さんの笑顔のために」日夜従事しています。

更新:2024.10.21