潰瘍性大腸炎に対する Red Density 内視鏡

札幌医科大学附属病院

消化器内科

北海道札幌市中央区

潰瘍性大腸炎とは?

主に若年~成人期に発症し、腹痛や下痢、血便といった症状が出現する大腸の病気で、国内ではその患者数が近年増加の一途をたどっています。原因は未だに明らかとなっていませんが、生活環境や遺伝的要因、腸内細菌の乱れ等が要因とされています。未だに根本的治療は確立されておらず、また病状の改善と悪化を繰り返す場合が多いため、生涯にわたって治療を継続する必要があります。

大腸内視鏡検査

潰瘍性大腸炎の病状を評価するには、さまざまな診察や検査を組み合わせて行います。問診(下痢や血便、腹痛の程度)や血液検査、最近では採便による検査もよく行われています。その中で重要なのが、大腸内視鏡検査になります。実際に大腸の粘膜の状態を視覚的に評価することができ、さらには内視鏡中に粘膜の一部を採取し(生検といいます)、顕微鏡でも評価を行うことができる重要な検査です。

Red Density 内視鏡

当科では、PENTAX Medical(ペンタックスメディアカル)と協力してRed Density 内視鏡という新たな内視鏡解析装置を開発しました。Red Density 内視鏡では、腸炎の程度を表す粘膜の赤色の強さをスコア化し、それをリアルタイムで内視鏡画面に表示することができます。これにより、内視鏡術者の力量に左右されずに、安定して腸炎の程度を評価することが可能になります。

写真
写真 左:通常の内視鏡画像 右:Red Density による内視鏡画像
スコアの強さ(症状や粘膜の炎症の強さ)は、赤色>黄色>緑色>青色の順に表示されます

これまでの検討により、Red Density 内視鏡で表示された赤色の強さのスコアが高ければ高いほど、潰瘍性大腸炎の症状の強さや、生検で採取した粘膜の炎症の強さも強くなるということがわかりました(図)。つまり、Red Density 内視鏡は潰瘍性大腸炎の症状を適切に評価することができます。現在も、さらなる有用性の検討のために臨床研究を継続しています。

図
図 Red Density 内視鏡のスコアと生検による粘膜の炎症の強さとの相関を表す散布図
(Peter Bossuyt, Hiroshi Nakase, et al. Gut. 2020 Oct;69(10):1778-1786.)
*赤い点はそれぞれ、1人の患者さんのデータを表しています

更新:2024.09.23

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