治療が難しい肺がんへの挑戦(外科的治療)

札幌医科大学附属病院

呼吸器外科

北海道札幌市中央区

早期肺がんの外科治療

肺がんの治療法の1つとして手術があります。侵襲(しんしゅう)(体への負担)の大きい開胸手術のほか、胸腔鏡下手術(きょうくうきょうかしゅじゅつ)やロボット支援下手術といった低侵襲手術といわれるものがあります。当院では後者が標準的に行われています。

手術方法は大きく分けて4つあります。

  • 肺全摘術(はいぜんてきじゅつ):がんがある側の肺を丸ごと切除する
  • 肺葉切除術(はいようせつじょじゅつ):右肺3つ、左肺2つに分かれる肺葉単位で切除する現在の標準的な手術
  • 区域切除:肺葉をさらに細かい区域に分けて、区域ごとに切除する
  • 部分切除(楔状(くさびじょう)切除):がん病巣だけを切除する

縮小手術とは一般に、3の区域切除と4の部分切除の2つを指します。

図
図 肺がんの手術方法

誰でも縮小手術ができますか?

肺がんの縮小手術は、肺を少しでも多く残すことで呼吸機能の温存を図ります。さらに、入院期間が短縮でき、術後の痛みも少ないので、早期の社会復帰など、生活の質の維持に有効です。しかし、早期肺がんの根治(こんち)(完全に治すこと。治癒)を求める標準手術はあくまでも肺葉切除です。

したがって、縮小手術はハイリスク(ほかの病気があり、もともと肺や心臓などの機能が低い)の方、多発肺がんの方、初期でリンパ節転移の可能性がほとんどないすりガラス陰影(*1)の方が適応となり、誰でもできるわけではありません。

*1 すりガラス陰影:胸部エックス線画像で見られる淡いすりガラスのような影

進行肺がんの外科治療

肺がんの中には見つかったときには、すでに病期(*2)が進行しているものもあります。その場合は先に化学療法や化学放射線療法を行い、がんを小さくしてから残った部分を外科的に切除する方法をとることもあります。ほかの近接臓器もがんに侵されている場合は、肺と一緒に切除(合併切除・拡大切除)することもあります。

*2 病期:病気の進行の程度

更新:2024.09.23