上部消化管(食道・胃・十二指腸)・大腸内視鏡検査とは?
札幌医科大学附属病院
消化器内科、内視鏡センター
北海道札幌市中央区

検査の概要
消化管内視鏡検査は、消化管の中に直接、内視鏡(細くて柔らかいカメラ)を入れて観察・診断を行う検査法です。上部消化管内視鏡検査は、口または鼻から内視鏡を入れて、食道・胃・十二指腸を観察します。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を入れて観察します。

検査の実際
前処置
- 通常は前日の夕食後から検査終了まで絶食となります。午後9時以降は食事をとらないでください。水などの水分摂取は構いません。
- 検査当日の食事(牛乳、ジュース、お茶なども)は控えてください。水のみは結構です。血圧を下げる降圧剤などの内服薬に関しては、事前に主治医に相談してください。
- 当日の服装は、和服、腹巻、ボディスーツ、ガードルなどの体を締め付けるものは避けてください。
- 脳梗塞(のうこうそく)、心疾患予防のため、血液をさらさらにする薬(抗血栓薬など)を内服している方は、主治医に伝えてください。
大腸内視鏡検査を行うには、大腸の中を空にしなければなりません。前日や検査当日朝に下剤を内服していただきます。排便状態が十分ではないときには下剤の服用を追加したり、浣腸(かんちょう)を追加することがあります。
検査前に必要に応じて鎮痙薬(ちんけいやく)注射(消化管の運動を一時的に止める薬)、鎮静薬(ちんせいやく)注射(意識を少し低下させ楽に検査を受けられる薬)などを行います。上部消化管内視鏡検査の場合は、検査前に咽頭(いんとう)麻酔薬投与(のどの麻酔)を行います。上部消化管内視鏡検査の実際の所要時間は10~15分位です。大腸内視鏡検査の所要時間は20~30分位です。検査中にお腹(なか)の張り、痛みを感じることがありますが、通常は一時的なのもので心配は要りません。
検査中に診断に必要であれば、以下の検査・処置を追加します。
- 生検(粘膜組織の一部を鉗子(かんし)でつまみ取ること)。
- 色素内視鏡検査/病変を発見しやすくするため、または精密検査の目的で、消化管内に色素を散布することがあります。
- 検査時に出血している病巣(びょうそう)を発見し、直ちに止血した方が良いと判断されるときは、内視鏡的止血術を行う場合があります。
鎮静薬の使用について
睡眠注射薬、麻薬、麻薬類似薬は、検査の苦痛を除去するために使われます。ただし、鎮静薬の効果はさまざまであり、鎮静作用が十分でない場合があります。鎮静薬を希望される患者さんは、医師に相談してください。
*鎮静薬を使用し検査を受けられた場合には、車の運転は極めて危険ですので、検査当日は公共の交通機関でお越しいただくか、車で来られる場合は家族の方が運転してご来院ください。
*鎮静薬を使用し検査を受けられた外来患者さんは、検査後内視鏡センターで1~2時間休んでから帰宅していただきます(目覚めの状態によっては、休む時間が延びることもあります)。入院患者さんは、車椅子などで病室に戻り休んでいただきます。
更新:2024.09.23