“心不全”って言われたけど、原因がわからない
札幌医科大学附属病院
循環器・腎臓・代謝内分泌内科
北海道札幌市中央区

心筋症・心アミロイドーシスとは?
心臓は頑張り屋さんです。全身疾患や心筋独自の病気など、さまざまな原因で機能不全となります。心筋症は心臓の筋肉自体の異常によって起きる疾患の総称で、狭心症(きょうしんしょう)・心筋梗塞(しんきんこうそく)・弁膜症などがないにもかかわらず心臓の機能が低下している場合や、心不全・不整脈に悩まされている場合に心筋症の可能性を考える必要があります。診断しても治療できない“不治の病”といわれていた時代もありましたが、診断・治療法が確立し、心筋症は治せる時代です。特に加齢とともに増加するアミロイドーシスが最近注目されています。
心筋症はどんな病気?
心不全とは、心臓が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。狭心症・心筋梗塞・弁膜症による心不全が一般的ですが、原因がわからない場合は“心筋症による心不全”の可能性があります。
また、心筋症は不整脈により失神や突然死を引き起こすことがあります。具体的には、拡張型・肥大型心筋症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎などがあり、以前は不治の病といわれていましたが、日進月歩で診断・治療法が確立されてきています。

アミロイドーシスはどんな病気?
アミロイドーシスは、血液に溶けないアミロイド線維が体内で形成され、臓器に蓄積して障害を起こす疾患です。心臓に蓄積した場合は、心不全、不整脈の原因となります。形質細胞性腫瘍(しゅよう)という疾患によって起きるALアミロイドーシスで心不全になった場合は、これまで平均半年間しか生きることができませんでしたが、新しい薬剤により劇的に寿命が延長しています。さらに、加齢とともに増加するトランスサイレチン型アミロイドーシス(以前は、老人性アミロイドーシスと呼ばれていました)に対する内服薬、タファミジスが2019年から使用できるようになりました。
当院は、タファミジスを処方できる資格を全国で早く取得した施設の1つです。
更新:2024.09.23