二次性高血圧症~原発性アルドステロン症~

福井大学医学部附属病院

内分泌・代謝内科

福井県吉田郡永平寺町

高血圧の現状

高血圧は国内に約4300万人の患者さんがいるといわれています。脂質異常症2500万人、糖尿病2050万人と比べても多いです。主に中年以降の患者さんが多く、成人人口8000万人のうちでは、2人に1人が高血圧といっても過言ではありません。しかも、高血圧の人は、脳卒中(手足の麻痺(まひ)など)、心臓病(突然死、寝たきりなど)、腎臓病(人工透析が必要など)が起こりやすく、健康寿命・生命寿命が短くなることがよく知られています。

さてその高血圧ですが、9割方は普通の高血圧です。しかし1割強は、ほかに原因のある特殊な高血圧と考えられています。その中には、専門的に薬を選ぶべきものや手術で治る可能性のあるものがあります。

血圧ホルモン(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)について

その特殊な高血圧を見つけ出すために、高血圧学会では、血圧ホルモンに異常がないかチェックすることを推奨しています。血圧ホルモンの大事なものに、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系があります。本来生き物が、血圧や塩分を保持して生きて行くのに絶対に必要なホルモンなのですが、これらが乱れると高血圧が引き起こされるのです。実際、病院ではレニンとアルドステロンとが測定されます。これらの検査結果によって特殊な高血圧を診断する手掛かりになるのです。

特殊な高血圧

通常の種類と量の薬では、うまく血圧の下がらないような高血圧の方は、ぜひ一度この血圧ホルモンを検査してみるといいでしょう。まずは血液(と尿)での測定を行うだけです。レニンもアルドステロンも異常高値の場合は、「腎動脈狭窄症(じんどうみゃくきょうさくしょう)」が疑われます。精密検査後にカテーテル処置で治る場合があります。レニンが異常低値、アルドステロンが異常高値の場合は、副腎腫瘍(ふくじんしゅよう)による「原発性アルドステロン症」が疑われます。精密検査後に腹腔鏡手術で治る場合があります(図)。レニンもアルドステロンも異常低値の場合は、漢方薬の副作用による高血圧、すなわち「偽性アルドステロン症」の可能性があります。この場合は漢方薬をやめると治る場合があります。

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図 アルドステロン症の診断と治療の流れ

高血圧について気になることがある方は、ぜひ一度、ご相談ください。

更新:2024.10.07