膠原病は早期発見・治療が重要!

福井大学医学部附属病院

皮膚科

福井県吉田郡永平寺町

膠原病とは

膠原病(こうげんびょう)とは、全身の複数の臓器に炎症や血管の病変をきたしてくる慢性の難治性疾患で、リウマチ性疾患とも呼ばれます。膠原病の中で最も多い疾患が、関節を主体に炎症を生じる関節リウマチです。しかし、ほかにもいくつかの疾患が膠原病に分類されます。

膠原病の中でも、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性強皮症(きょうひしょう)、皮膚筋炎(きんえん)などでは皮膚症状で気づくことも少なくありません。また、皮膚症状で苦しまれ、それに対する治療が必要になることもあります。このため、当科では膠原病専門外来を設けて診療を行っています。膠原病では、早期に診断して最初にしっかりした治療を行うことが重要になります。以下にこれらの代表的な膠原病について解説します。

全身性エリテマトーデス

若い女性に発症することが多く、原因不明の発熱や関節痛などで始まります。その際に、しばしば両頬に紅斑(こうはん)と呼ばれる赤色の病変や脱毛がみられます。半数以上の方では、腎臓などの内臓にも病変が生じます。診断には血液検査が役立ちますが、皮膚症状も早期発見の重要な手掛かりとなります。診断が確定すると、症状の程度に応じて、ステロイドや免疫抑制薬などの薬で治療することになります。また、近年ではヒドロキシクロロキンという免疫調整薬や抗体治療も使用されます。

全身性強皮症

中年女性に発症することが多く、最初はレイノー現象(指が冷えたときに白く変化する)や手指の腫脹(しゅちょう)で気づきます。その後、手足などから皮膚が硬くなってくる病気です。また、肺、心臓、消化管、腎臓などの内臓臓器にも症状が出る場合があります。当科では、ダーモスコピーやキャピラロスコピーといった機器を備え、爪の根元の毛細血管の異常を見つけることで早期診断を可能にしています(写真)。そして、皮膚や肺病変に対する免疫抑制薬による治療や抗体治療、血流障害で指先などに生じる傷に対する薬物治療を行っています。

写真
写真 キャピラロスコピー(毛細血管顕微鏡)を用いて爪(そう)かく部の毛細血管を観察することは、全身性強皮症の早期発見につながる

皮膚筋炎

小児や高齢者に多く、二の腕や太ももの筋肉痛、筋力低下をきたします。また、まぶたや手背、肘(ひじ)、膝(ひざ)などに特徴的な赤色の皮膚病変がみられます。中には、筋症状がみられない患者さんもいますが、その場合は皮膚症状から診断する必要があります。肺の炎症や、内臓悪性腫瘍(しゅよう)などを合併することもあります。この皮膚筋炎においても、全身性強皮症と同様に爪の根元の毛細血管の観察が診断に役立ちます。ステロイド、免疫抑制薬、血液製剤などで最善の治療を行っています。

ほかにも、混合性結合組織病(こんごうせいけつごうそしきびょう)、シェーグレン症候群、結節性多発動脈炎などの血管炎、ベーチェット病、限局性強皮症(モルフェア)などについて、膠原病専門外来を中心に力を入れて診療しています。

なお、全身性エリテマトーデス、全身性強皮症、皮膚筋炎では新薬の臨床試験を行っており、参加いただける患者さんを募集しています。

更新:2023.09.11