不整脈のタイプに応じた治療の選択

浜松医科大学医学部附属病院

循環器内科

静岡県浜松市東区半田山

不整脈の症状

正常の脈でないものを不整脈といいます。正常の脈では、心臓は規則正しく収縮し、安静時の心拍数は50～100拍／分です。5拍／分より遅くなるものを徐脈性不整脈（じょみゃくせいふせいみゃく）、100拍／分より速くなるものを頻脈性不整脈（ひんみゃくせいふせいみゃく）といいます。

どちらの不整脈でも正常の脈に比べて血液のめぐりが悪くなるため頭に血が上りにくくなり、めまいやふらつき、場合によっては失神発作を生じることがあります。

また、血液のめぐりが悪くなることで、心不全（心臓のポンプ機能が低下して血液が渋滞し、体内に水分がたまってしまう病気）になることもあり、いつもと同じペースで歩いたり階段をのぼったりするだけで息切れがしたり、手足がむくんできたりします。頻脈性不整脈の場合は動悸を自覚することもあります。

不整脈のタイプに応じた治療を選択します。

徐脈性不整脈の場合はよい薬がないため、ペースメーカーを植え込みます。ペースメーカーは、心拍数が保たれるように、適宜心臓を刺激して心臓を収縮させます。

ペースメーカー本体を鎖骨の下あたりに植え込み、そこからリード線を心臓へ挿入するのが従来型のペースメーカーですが、最近ではリードがない超小型のリードレスペースメーカーも使用可能となりました（図）。

頻脈性不整脈の場合には、動悸症状や心不全症状を軽減するために、脈拍数を抑える薬や不整脈を正常の脈に戻す作用のある薬を使用します。また頻脈性不整脈は、心臓の中に異常な電気の発生源や異常な電気回路があることが原因となっているため、カテーテルアブレーションという治療が有効です。

カテーテルアブレーションの具体的な手順ですが、まず、足の付け根の血管からカテーテルという細い管を挿入し、心臓まで進めます。カテーテルの先端から50～60℃の熱を発生させて、異常な電気の発生源をなくす（もしくは閉じ込める）か、あるいは電気回路を切断します。その結果、頻脈性不整脈を治すことができます

更新：2023.10.26