NICUにおける最新の未熟児網膜症診療
浜松医科大学医学部附属病院
周産母子センター
静岡県浜松市東区半田山
未熟児網膜症とは
網膜は眼の一番奥にあって、カメラのフィルムに相当する場所です。早産の赤ちゃんでは網膜の血管が十分に伸びていない段階で生まれてしまうため、正常な血管の発達が途中で止まり、異常な発達をすることがあります(図)。これが未熟児網膜症です。
妊娠28週未満のお母さんから生まれた赤ちゃんでは、100%近くが発症します。自然に治る傾向がありますが、病状が悪いと、視力に悪影響が出る恐れがあります。
未熟児網膜症を悪化させないために
網膜の血管の未熟性に加えて、血液中の酸素濃度や血圧、早産で生まれたことによる合併症が、未熟児網膜症の発症や悪化に関係するといわれています。特に、呼吸状態が不安定な赤ちゃんに対して補う酸素の濃度が高すぎれば、未熟児網膜症の悪化をまねき、低すぎれば脳への酸素の供給が少なくなって、脳の正常な発達に影響を及ぼしてしまいます。
そこで、最新の医療機器によるモニタリングとスタッフの熟練の力量によって、眼にも脳にも悪影響の出ない、絶妙な酸素のコントロールをめざしています(写真1)。
最新の未熟児網膜症診療
眼底検査では、専門の眼科医師がLEDライトとCCDカメラを搭載した最新の診察機器を用いて、網膜の血管の様子を観察しています。網膜の血管の発達にかかわる成長因子が、未熟児網膜症の悪化に影響していることが明らかになり、近年、この成長因子を抑制する薬を眼の中に注射する治療法が行われ始めています。
当院ではこの治療法を積極的に取り入れており、非常に良好な治療成績をあげています(写真2)
更新:2023.10.26