心臓病に対する高度な先進医療の提供:ハートチーム(循環器内科・心臓血管外科)
藤田医科大学病院
心臓血管外科
愛知県豊明市沓掛町町田楽ヶ窪
急性心筋梗塞によるショック患者に対するカテーテル治療(PCI)とインペラ補助循環を用いた救命治療
藤田医科大学では2017年8月10日“心臓血管センター”をオープンしました。循環器内科と心臓血管外科の協力のもと、ハートチームを作り、急性心筋梗塞(しんきんこうそく)、心臓弁膜症、心不全に対する高度先進医療の安全な提供に努めています(写真1)
2019年度CCUに急性心筋梗塞などの急性冠症候群で323人が入院し97.2%は軽快しました。急性心筋梗塞で入院された患者さんは愛知県では最も多く、救命率も高いのですが、残る2.8%は残念な結果になりました。この1つの原因に急性心筋梗塞によるショックがありますが、当院ではこれに対し、カテーテル治療(PCI)とインペラ(IMPELLA)補助循環用ポンプといわれる新しい治療機器を併用し救命に努めています(下図)。
大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI)
心臓は血液を全身に送るポンプですが、大動脈弁は、送り出した血液が心臓に逆流しないよう、閉じ開きをしています。この大動脈弁が加齢などにより石灰化して硬くなり、弁が開きにくくなる病気を「大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)」といいます。この病気は高齢者に多く、重症の場合は、息切れや心不全、胸痛や意識消失などの症状が出て、1~2年で亡くなる人もいます。経カテーテル的大動脈弁置換術(TAVI、写真2)は、この病気に対する新しい治療法で、従来の開胸手術ができない方が対象になります。現在までに160例の患者さんにこの治療を行い、直近の100例では大きな合併症はありません(写真2)。
ダビンチを用いた心臓外科手術
急性大動脈解離や重症の狭心症、弁膜症では、内科的な治療には当然限界があります。この重症な病態の救命のためには心臓外科手術は必須です。これらには、重症狭心症に対する冠動脈バイパス手術(CABG)、大動脈解離に対する緊急手術、重症心臓弁膜症に対する弁形成術などがあります。
心臓血管外科手術は最近の心臓大血管病の増加から年々増加し、2019年は年間371例の心臓大血管手術を行いました。この中でも心臓・胸部大動脈手術という生死に直結する手術311例の手術早期の死亡率は0.96%と1%を切る優れた成績でした。また当院ではダビンチと呼ばれる手術支援ロボットが普及しており、心臓血管外科でもこのダビンチを用いた手術を行っています(写真3)。
外科手術をしない僧帽弁閉鎖不全症のカテーテル治療(MitraClip)
2019年から当院で施行可能となったMitraClipシステムを用いた経カテーテル僧帽弁クリップ術は外科手術に比べ早期に退院可能です。
心房細動や致死性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療
近年、心房細動(しんぼうさいどう)は脳梗塞(のうこうそく)の原因として知られるようになり、カテーテルアブレーション治療により根治(こんち)あるいは、根治に近い状態にできる症例も出始めました。また、致死性不整脈治療にも有効で、当院では2019年は344例の患者さんにカテーテルアブレーション治療を施行しています(写真4)
更新:2024.10.08