乳がんの乳房再建術
札幌医科大学附属病院
形成外科
北海道札幌市中央区

乳房再建とは
乳がん治療のため乳房を切除したのち、失った乳房の膨らみをつくる治療です。治療の方法はシリコンインプラントを用いる「人工物再建」と自分の脂肪を用いる「自家組織再建」があり、患者さんのライフスタイルや乳房の形に合わせて治療法を相談しています。乳房切除と同時に行うこともできますし、手術後時間が経っていても治療が可能です。
人工物再建
シリコンインプラントを使う方法です。基本的に2回の手術が必要になります。初回手術で大胸筋の下にエキスパンダー(皮膚を伸ばすための風船)を入れ、外来で水を注入して皮膚を伸ばしていきます(図1)。

2回目の手術(半年後)でインプラントへ入れかえを行い、形を整えます。自家組織再建と比べると手術時間が短く、体への負担が少ない治療です。ただし、破損や感染が起こった場合には、インプラントを抜く必要があります。
自家組織再建
自分のお腹(なか)や背中の脂肪を使う方法です。当院では、お腹の穿通枝皮弁(せんつうしひべん)(腹直筋を温存して皮膚と脂肪に栄養血管をつけたもの)を胸に移動させ、乳房の形をつくる治療を主に行っています(図2)。人工物再建に比べて手術時間が長く、乳房以外の場所に傷(きず)あとが残りますが、温かく、柔らかい乳房を作ることができます。異物を入れたくない患者さんや、乳房の下垂がある場合などにお勧めしています。
図2 腹部からの自家組織再建
当院では、人工物再建が8割、自家組織再建が2割の割合で再建を行っています。
乳頭乳輪再建
乳頭乳輪が切除された場合、乳房の形が出来上がったあとに、乳頭乳輪を作ることができます。対側の乳房から乳頭乳輪を半分移植する方法や、乳房の皮膚で乳頭の高まりを作って医療用タトゥーで色を入れる方法などがあります。
更新:2024.09.23