緑内障の最新の治療法

自覚症状としては、見えている範囲（視野）の中で見えない部分（暗点）が出現する、視野が狭くなるといった症状が一般的です。霞んで見える、グレーに見えると感じる方もいます（図２）。痛みや痒（かゆ）みはありません。病気はゆっくり進行しますので、緑内障の初期の段階では自覚症状が出ないことがほとんどです。

確実な原因はわかっていません。眼圧が視神経を障害する要因であることがわかっています。眼圧とは目の硬さのことで、正常な眼圧の値は10～21mmHgです。眼圧はとても小さな値のため、自覚することはできません。眼圧の測定器は眼科にあります。

眼圧が21mmHgよりも高い状態が続くと緑内障になりやすいですが、日本人の緑内障の８割程度は眼圧が正常な緑内障といわれていますので、眼圧が正常でも緑内障になる可能性があります。

視力検査や眼圧検査、眼底検査など眼科で行われる一般的な検査に加えて、視野検査といって見える範囲がどのくらいか、見えている中で一部見えていないところがないかを検査します。検査時間は15分程度です。

また最近では、専用の器械で目を撮影することで（光干渉断層計）視神経の障害の程度がわかり、視野検査よりも先に緑内障の疑いを見つけることができるようになりました。

残念ながら、見えなくなったところは元には戻りません。目がよくなる治療は現在ありません。これ以上見えなくならないように治療をします。進行を抑えるには、眼圧を下げることが確立されている唯一の治療法です。眼圧を下げる根治（こんち）（＊）治療はないため、緑内障の診断を受けた場合は、一生眼圧を下げる治療を続ける必要があります。

＊根治：完全に治すこと。治癒

眼圧を下げる治療法は３つあります。①目薬治療、②レーザー治療、③手術治療です。まずは目薬を開始し、それでも眼圧が下がらない場合は、手術で眼圧を下げます。点眼は４～５種類まで追加することができます。

最新の治療として目薬は新薬や、合剤（ごうざい）といって通常は２種類使わなければいけないところを１本にした目薬が出てきているので、昔に比べると目薬で眼圧を下げられることができ、手術の時期を延ばすことが可能になってきています。

軽症の方や点眼アレルギーで、十分に目薬を使うことができない場合はレーザー治療（レーザー線維柱帯（せんいちゅうたい）形成術）を選択できます（図３）。レーザーは痛みのない処置で、外来の診察の合間で行うことができ、５分程度で終わります。効果には個人差がありますが、眼圧が下がった場合は軽症だと点眼を不要にすることもできます。時間がたつと再び眼圧が上がってくる方もいますので、その場合は繰り返し行うこともできます。レーザー治療が可能な施設は限られていますが、当科ではレーザー治療が可能です。

早い段階で緑内障を見つけ、進行しないように治療するのが予防となります。人間ドッグで目の写真を撮ってもらったり、眼科受診をして緑内障の検査を希望したりすれば、早期に見つけることが可能です。