腸内細菌を増やして健康維持を

札幌医科大学附属病院

総合診療科

北海道札幌市中央区

腸内細菌とは、消化管、主に大腸に棲(す)む細菌のことを指しており、約1000種類、100~1000兆個にも及びます。細菌といっても私たちに有害な影響を与えるものだけではありません。腸内の環境を改善し栄養の吸収を助けるものや、有害な働きをする細菌の活動を抑える働きをするものも含まれます。これらの細菌は同じ仲間同士で集合し塊(かたまり)をつくって腸内に棲んでいます。その集合体を顕微鏡でみると、あたかもお花畑(フローラ)のようにみえることから、これらの塊を腸内細菌叢(ちょうないさいきんぞう)、腸内フローラと呼んでいます。

イラスト
図 大腸と腸内細菌

この腸内フローラが形成され始めるのは、出産時に母体の産道を経て出生するときです。無菌状態の胎児の腸内に、初めて母体から腸内細菌をもらい受けることで増殖を開始、腸内フローラが形成されていきます。

最近の研究では、腸内細菌はアレルギー、糖尿病、高血圧、心臓の病気、がん、腸炎、脳の病気、心の病気など、さまざまな病気との関連があると報告されており、注目が集まっています。良い働きをする腸内細菌を増やし、お腹(なか)の調子を整えることは健康を維持する第一歩といえます。

更新:2024.09.23