ダニによる感染症――ライム病、重症熱性血小板減少症候群など
札幌医科大学附属病院
皮膚科
北海道札幌市中央区

ダニに刺されることで、ダニの体内にある病原体がヒトに感染して起きる病気がたくさんあります。ライム病、重症熱性血小板減少症候群、ダニ媒介脳炎(ばいかいのうえん)、ツツガムシ病などです。特に北海道で注意すべきはライム病(ボレリア感染)で、マダニの吸着部位に10〜14日後に環状や円形の大きな発赤(ほっせき)(慢性遊走性紅斑(まんせいゆうそうせいこうはん))ができます。発熱、関節痛を伴うことがあり、放置してもこれらの症状は一旦治りますが、数か月から年単位で顔面神経麻痺(まひ)など、さまざまな内臓病変が現れることがあります。

マダニの吸着部位は、ほとんど痛みもかゆみもありません。マダニは自分で取っても口器(こうき)が皮膚に残ってしまう場合があるので、病院で除去してください。北海道のマダニは病原体の保有率が高いので、感染症予防のために抗菌薬の投与が推奨されています。
重症熱性血小板減少症候群やツツガムシ病は命にかかわる重症の感染症ですが、北海道内で感染した患者さんの報告はまだありません。ダニ媒介脳炎はとてもまれ(数例)ですが、過去に北海道で報告があります。
更新:2024.09.23