頸動脈狭窄症に対するステント留置術
日本医科大学付属病院
脳神経内科
東京都文京区千駄木

頸動脈狭窄症とは?
頸動脈狭窄症(けいどうみゃくきょうさくしょう)とは、頸(くび)の血管が徐々に細くなり、それによって脳への血流が足りなくなったり、血栓(けっせん)(血の塊(かたまり))ができて脳梗塞(のうこうそく)を起こしたりする病気です。主な原因は動脈硬化(どうみゃくこうか)です。高血圧や脂質異常症、糖尿病、喫煙が危険因子として知られています。
脳梗塞を起こして発見された場合、症候性頸動脈狭窄症といいます。まだ脳梗塞を起こしておらず、健診などで発見されたものを無症候性頸動脈狭窄症といいます。治療は、内科的治療と外科的治療があります。
頸動脈狭窄症の診断と検査
頸動脈とは、あご骨の下にあり、自分の手でも拍動を触れることができます。体の表面に近いため、超音波検査(図1)での評価が、体の負担が少なく非常に有用です。超音波検査は、頸動脈狭窄症の発見から重症度の判定まで、幅広く行うことが可能であり、健診でも用いられています。

健診などで頸動脈狭窄症と診断された際は、脳神経内科を受診ください。MRI・CTなど、ほかの検査を追加することで、さらに詳しく評価することが可能です。
頸動脈ステント留置術
頸動脈狭窄症には、生活習慣病の治療や生活習慣の改善(運動や禁煙)などの内科的治療が非常に重要です。しかし、内科治療を行っても狭窄が悪化することや、脳梗塞を発症することもあります。その場合は、外科的治療を考えます。
外科的治療には、直接血管を切開し頸動脈内のゴミを取り除く「頸動脈内膜剥離術(ないまくはくりじゅつ)」と、足の付け根の血管に3mm程度のカテーテル(医療用の細い管)を挿入し、ステントという金属を置いて血管を広げる「頸動脈ステント留置術」があります。
私たちは、患者さんの体に負担が少ない頸動脈ステント留置術を積極的に行っており、全国的にも頸動脈ステント留置術の件数は増加傾向となっています。重度な狭窄であっても、ステント留置術により良好な拡張を得ることができます(図2)。

しかし、頸動脈ステント留置術が向かない患者さんもいますので、適宜、脳神経外科医師と相談し、頸動脈内膜剥離術を選択することもあります。
患者さんに合った治療を選択できるように、誠心誠意対応いたしますので、ぜひご相談ください。
更新:2025.12.12
